「霊園」は、現在は「墓地」とほとんど同じ意味に使われています。
「霊園とは、寺院が管理する墓地以外の墓地」とすることもありますが、寺院が管理しているところでも「〇〇寺霊園」などのように名乗ることもあります。
このため、「霊園」と「墓地」を使い分ける必要は基本的にはないでしょう。
さて、この「霊園」は私たちが最後に過ごすことになる場所です。
ここで永い眠りにつくことになるため、妥協せずに自分の好みの霊園を選ばなければなりません。
それには以下の点に留意・注目する必要があります。
- 宗教と宗派
- 弔い方とデザイン
- 費用と運営団体
- アクセス
- 設備
それぞれ見ていきましょう。
目次
霊園選びにおいて、もっとも始めにやるべきことは「宗教と宗派の確認」です。
これが合致していなければ、ほかの段階に進むことができません。
公共霊園の場合は「宗教宗派問わず」としているところが基本となり、民営の霊園でもそのほとんどすべてが宗教宗派問わずとしています。
しかし寺院管理の霊園の場合はこの限りではありません。
寺院管理の霊園であっても宗教宗派不問のところもありますが、「仏教で〇〇派」「在来仏教ならば認めるが、それ以外の人は入れない」としているところも多く存在します。
どれだけほかの条件が良い霊園であっても、宗教と宗派が異なれば入ることはできません。
そのためまずはこの点をチェックしてください。
次に考えたいのが、「埋葬方法」です。
現在は霊園のかたちも多様化しており、埋葬方法も多岐に及びます。
たとえば、従来通りのお墓(墓石)を持つこともできますし、樹木葬というかたちで自然に還ることもできます。
プレートを置いたり、霊園内の納骨堂に納まったりすることもできます。
もちろん、合葬というかたちを選ぶこともできます。
自分の希望する埋葬方法はどのようなものなのかを考え、それに合致した霊園を選びましょう。
また、その霊園の雰囲気やデザインもチェックします。
特に樹木葬の場合はこだわった方がよいでしょう。
もうひとつ、合わせて考えたいのが「供養方法」です。
現在は永代供養を売りにしている霊園もたくさんありますが、これには、
- 実際には管理や掃除だけである
- 寺院霊園であるため、朝夕のお勤めをしてもらえる
のパターンがあります。
「信心深い人だったので、毎日お経をあげてほしい」と考えるのであれば、後者のスタイルを選んだ方がよいでしょう。
「費用と運営団体」もチェックしておきましょう。
霊園の価格は、霊園ごとでまったく異なります。
墓石を置く従来のタイプの霊園の場合は、その土地の値段に大きく影響されます。
たとえば、著名人も多く眠る青山霊園の場合は都立の霊園でありながら、最低でも450万円程度、もっとも高いものになると1,000万円をこえる価格となります。
しかし地方の墓地の場合、倍の広さがあっても10万円程度で利用できることもあります。
このように、墓地の値段には大きな違いがみられるのです。
一般的に、公共団体がとりまとめている霊園は価格が抑えられる傾向にあります。
しかしこれも絶対的なものではありません。
「費用」は非常に重要なものですから、納得のいくまで説明を受けましょう。
また一時的に払うお金だけではなく、管理費用などについても確認しておきたいものです。
合わせて運営団体を確認しておきましょう。
運営団体による違いは「宗教・宗派に対してどのように考えるか」が大きいと言えます。
ただ、公共団体が運営している霊園は基本的には破綻しないものと考えてよい、等のように、「その霊園が今後も存続していけるかどうか」を判断する基準ともなります。
「アクセスしやすい霊園かどうか」も確認しておきましょう。
一般的に、樹木葬の霊園で、かつ里山型の場合は立地が良くなく、アクセスしにくい傾向にあります。
また公共団体が運営する霊園の場合も立地面で恵まれていない傾向にあります(ただしこれはあくまで「傾向」であるため、公共団体が運営している霊園でも非常にアクセスの良い霊園はあります)。
頻繁にお墓参りをしたいという人であれば、
- 駅からの距離が近いか
- 駅からの距離が遠い場合は、送迎バスなどが出ているかどうか
- 送迎バスがない場合はバスなどを利用できるかどうか、またその本数はどれくらいか
を見ておく必要があります。
「通いにくい霊園」を選んでしまうと、無意識的であってもお墓参りに訪れる階数が減ってしまいます。
「その霊園がどのような設備を持っているか」も最後に確認しておきましょう。
法要・法事といった追悼儀式ができる場所があるか、駐車場はどうか、バリアフリー対策がしてあるかどうかなどです。
またあわせて、その霊園がちゃんと手入れされているかも見ておきます。
きちんと掃除がされているかなどをチェックするようにしてください。
ただ、「設備面」に関しては代用がきく話ではあります。
このため、「ほかの条件は完璧なのに、法要・法事ができる会館がないことだけが気がかり」ということであれば妥協しても問題にはなりにくいでしょう。
霊園は「最後の居場所」になるところです。
また、霊園は実際に足を運んでみなければ、その雰囲気や実際の運営について把握しかねる部分があります。
特に樹木葬の場合は、可能ならば春先~夏と、秋~冬の2回に分けて足を運びたいものです。
ここで紹介したのは、あくまで「足を運んで、実際に自分の目で見る霊園を絞り込むための準備」です。
「このポイントをすべてクリアしたから。直接霊園には足を運んでいないけれど契約してしまおう!」と考えるのは危険です。
条件が合い、候補となる霊園を絞り込めたのならば、必ず自分の足でその霊園まで行き、雰囲気などを確かめてください。
このときに行う「移動」で、アクセスのしやすさも確認できるはずです。