日本は仏教を信仰している人が多くいますが、仏教の中では宗派がたくさんあります。
宗派によって、お墓の種類や埋葬方法、お墓のお参りの作法などが違います。
近頃は若い年代を中心として自分の家の宗派を知らない方が増えているため、宗派とお墓の繋がりについて知らない方が多いです。
しかし宗派についてある程度知識がないと、嫁ぎ先や他宗派の葬式に参列する場合に困ってしまうかもしれません。
そこで今回は仏教の宗派とお墓に関して紹介していきたいと思います。
宗派によってお墓に関するさまざまな決まりが異なるということですが、日本には代表的な十三宗派があります。
学生の頃に日本史の授業で習ったことがある方もいるかと思います。例えば奈良仏教系は南都六宗と言われ、華厳宗や法相宗、律宗が分類されます。
奈良時代は平城京を中心に栄えていました。
平安仏教とは、主に平安時代に開かれた真言宗と天台宗の二宗を指します。
鎌倉時代には様々な宗派が誕生します。浄土系には、浄土宗や浄土真宗、融通念仏宗、時宗があり、観仏や念仏によって浄土に往生できると伝えられています。
日蓮がひらいた日蓮宗は法華経を経典として法華系に分類されています。
武士や庶民を中心に広がった禅宗も鎌倉時代に栄えました。
また、曹洞宗や臨済宗などの禅宗は、坐禅などの修行を行います。
衣食住に対する考え方が、各宗派の教えによって異なるので、同じようにお墓に対する考え方も異なっています。
- お墓の形の違い
- 刻まれる文字の違い
- お墓参りの作法の違い
仏教の宗派には、たくさん種類がありますが、実は、お墓の形自体にはあまり違いはありません。
その理由としては、お墓を建てるという行為自体が、日本の風俗習慣である［祖先のお祭りを行う］という行為から派生したからです。仏教の宗派によってそれぞれ始まったのではありません。
仏教を信仰する人が多い日本では、和型墓石という和型の細長い形のお墓が主流になっています。
宗派によってお墓に刻まれる文字が異なるのは、各宗派によって戒名が違うからです。
戒名が異なるため、お参りする際に唱える言葉にも宗派によって違いが見受けられます。
天台宗や真言宗などは、戒名の前に梵字で［ア］の字を墓石に刻むことが多いのが特徴です。
この［ア］という文字は大日如来の意味があるとされています。
浄土宗においては、戒名の前に［誉］と刻まれる場合や［南無阿弥陀仏］と刻まれる場合があります。
浄土宗と同じ系統の浄土真宗については、戒名の代わりに法号と呼ばれるものがあります。
法号の前に男性ならば［釈］、女性ならば［釈尼］と付けられます。
禅宗は、戒名は天台宗と同じ様な形式で刻まれますが、お墓の上部を円形にしたり円を描いたりします。
まれに［南無釈迦牟尼仏］と刻まれることもあります。
日蓮宗は、戒名が存在せず法号のみとなります。
お墓には［南無妙法蓮華経］と刻み、法号の前に［妙法］の文字を刻みます。
お墓参りの作法はどんな宗教であっても、基本的には同じです。
一番はじめに、故人のお墓の周りの雑草を抜いたり落ち葉などを片付けたりして綺麗に掃除をします。
そして、お墓に水をかけ、柔らかいもので軽くお墓を磨きます。
その後に故人の好きだった好物やお花をお供えします。
最後にお線香をあげて、故人に向けてお祈りを行い、お供え物を片付けてお墓を去ります。
しかし、日本では宗派による違いはなくとも、地域によって作法が違うところがあります。
例えば、お参りの仕上げに日本茶を墓石にかける地域があれば、墓石が痛むので日本茶は絶対にかけない地域もあります。
また、沖縄や東北の一部地域では、親族がお墓の前にご馳走を広げてピクニックのように飲食をする風習があります。
広島県や香川県では、盆灯篭という華やかな色の旗を作りお墓の前に飾る風習があります。
家族間で宗派が違うと、お墓や葬儀にも影響を与えてしまいます。
この様な場合には、ご本人や家族がどうしたいのかを前もって話しておくのが一番良いです。
もし、同じお墓に入りたい場合は、公営の墓地であれば宗派・宗教が違っていても、同じお墓を使用できることが多いです。
また、納骨堂やお墓の許可が出れば、家族それぞれの宗派に合わせ、分骨するということも可能です。
ただし、別々のお墓に入る場合は、その分のお金も別にかかってしまうので費用の準備が必要となります。
日本では仏教を信仰している人が多いですが、宗派の違いによってお墓に関する様々なことが異なります。
嫁ぎ先や知人のお墓参りの際など、いざという時に困らぬ様に、宗派や宗教によって様々な決まりごとがあるということをこの機会にぜひ理解しましょう。
