葬儀を行ったときは、家族葬でなければ故人の勤めていた会社もしくは家族の所属している会社から不祝儀が出されることも多いといえます。
この場合、香典返しはどうしたらよいのでしょうか?
それについて解説していきます。
なお「香典返し」という言葉は本来は仏教用語に分類されますが、現在は「頂いた不祝儀に対するお返し」として広く使われる言葉となっています。
そのためここでもこのような意味合いで使っていきます。
また現在は、(特に会社関係の場合は)「香典返しを即日行う」という形態が多いため、特筆しない限りはこのやり方をとっていると考えてください。
香典返しを即日行うことは「即日返し」とも呼ばれており、受付で不祝儀を受け取ると同時に香典返しをお渡しする方法をいいます。
「香典返しは相手の不祝儀の金額に応じて内容を変えること」が原則ですが、会社関係の場合は多額すぎる金額を包んでくる人はあまりいないため、このやり方で対応できることが多いといえるでしょう。
目次
会社関係から寄せられる不祝儀は、以下のいずれかのパターンをとることが多いといえます。
- 会社名義で届けられるもので、慶弔規定に決められているもの
- 部署名・連名で出されたもの
- 個人名で出されたもの
それぞれのケースで考え方が違うので、一つずつ解説していきます。
会社名で出された不祝儀の場合は、会社の慶弔規定にのっとって出される場合が多いといえます。
この場合は、香典返しを行う必要はありません。
ただし、「会社名だが、代表取締役の名前が入っており、それが高額である」という場合は香典返しを検討してもよいでしょう。
その場合は15000円程度を上限とし、2分の1~3分の1程度でお返しします。
なお、いずれの場合でも「香典返しは不要です」「香典返しは辞退します」と断られたのならば、香典返しはお渡ししないようにします。
会社から寄せられる不祝儀のなかで、一番判断しにくいのは「部署名や連名で出された不祝儀」でしょう。
会社に勤めている人ならば経験したことのある人も多いかと思われますが、「同じチームの人のお父様が亡くなられた」などのようなケースでは、チーム全体からお金を集めて不祝儀袋にまとめて代表者が持っていく……というやり方がよくとられます。
このようなかたちで不祝儀を寄せられた場合、
- 部署名であれ連名であれ、香典返しは必要ない
- 部署名ならば1つだけ、連名ならば人数分
- 忌引き休暇が終わった後に、みんなで食べられるお菓子などを贈るのが良い
などのような選択肢があります。
また、「2をした後で3を行う」「1のかたちをとるが、3も行う」といった「合わせ技」で対応する場合もあります。
これについては、「どのやり方が正しく、どのやり方が間違っている」というものではありません。会社の慣例や地域性によっても異なるからです。また葬儀会社側の考え方も一定ではなく、2のやり方を取るところもあれば1を推奨するところもあり、3を基本とする会社もあります。
基本的には葬儀会社に聞きつつ判断していくとよいでしょう。
何よりも重要なのは、「受け取った人で対応が異なる……などのような状態にはしないこと」です。
1のやり方をとるのならば1のやり方で、2のやり方をとるのであれば2のやり方で、3のやり方をとるならば3のやり方で統一し、受付の人の自己判断で対応を変えないようにと伝えておくようにしてください。
- 「父が現役時代に面倒をみていたという部下の人が、個人名で不祝儀を出してくれた」
- 「いつもお世話になっている先輩が、父の葬儀に個人名で不祝儀を持ってきてくれた」
- 「いつも良くしてくれている取引先の担当者が、個人名で不祝儀を渡してくれた」
などのようなケースもよくあります。
このようなケースの場合は、香典返しの原則に基づいてお返しすることになります。
つまり、頂いた金額の2分の1~3分の1の金額の品物をお渡しするのです。
ただし、会社関係の人から頂く不祝儀は、個人名であっても10000円程度が多いでしょう。
このため、上で述べたように、香典返しは「即日返し」で済んでしまうことが多いといえます。
なぜなら即日の香典返しに選ばれているものの相場は3000円くらいであり、「10000円の3分の1程度」の金額のものだからです。
ただし、「20000円以上の不祝儀を包んでもらった」などのような場合は、やはり後日に改めて香典返しをお送りする必要があります。
ここまで、「会社関係の人から頂く不祝儀への香典返し」の基本を見てきました。
ただそれ以外にも、気を付けたい部分があるので最後にチェックしていきましょう。
喪主や家族は、葬儀にあたりある程度長い期間会社を休むことになります。
そのため、不祝儀をもらった・もらっていない、あるいは香典返しを返した・帰していないに関わらず、復帰後には菓子折りなどを持っていってご挨拶をした方がよいでしょう。
なおこの場合は、個別包装された分けやすいお菓子が喜ばれます。
- 「働き盛りの夫が死んでしまって、一家は大黒柱を失った。子どももまだ小さい」
- 「父の要望で、頂いた不祝儀はすべて慈善団体に寄付する」
などのような場合は、香典返しをお渡しする必要はありません。
ただし、後日はがきを出す必要があります。
前者の場合は「頂いた不祝儀は、遺児の養育に役立てること」を書き、後者の場合は「故人の遺言により、頂いた不祝儀は寄付する」旨を記します。
このはがきで、香典返しに代えることができます。
不祝儀は、義理でお渡しするものでもありますが、故人やご家族に対する会社からの思いやりでもあります。
また相互扶助の精神で出されるものでもあります。
しっかりと向き合い、「どのような返し方が大切か」を考えて対応していきたいものですね。