少子化が進み、弔いのかたちが変わっていっている今、「改葬」という考え方に注目をする人も増えてきました。
ここでは、
- ・改葬とは何か
- ・改葬の種類
- ・改葬のやり方
- ・改葬ができない場合
について記載していきます。
改葬とは、「現在ご遺骨を収めているところから、ほかのところにご遺骨を移し替える方法」をいいます。
「遠方に住んでいて、もう二度と地元に戻らない」
「今までは納骨堂で面倒を見てもらっていたが、お墓ができたのでそこに移したい」
「自分は結局子どもを持たなかった。自分で最後となるので、先祖のことを供養していく人がいない」
などの理由がある人は、この「改葬」という手段を検討してみる価値があるでしょう。
改葬を行うことで自分に近いところにお祀りすることができるようになりますし、改葬の種類によっては自分が死んだ後でも供養を続けていってもらうことができます。
改葬の種類は、大きく分けて以下の5つです。
- 今まで収めていたお墓からご遺骨を出し、ほかのお墓に移転する
- 今まで収めていたお墓からご遺骨を出し、永代供養や自然葬に切り替える
- 今まで収めていたお墓(あるいは預けていたところ)からご遺骨を出し、分骨する
- 今まで収めていた納骨堂などからご遺骨を出し、お墓に入れる
- 今まで収めていた納骨堂などからご遺骨を出し、永代供養や自然葬に切り替える
それぞれ見ていきましょう。
ここからは、「それぞれの改葬がどのような意味を持つか」について解説していきます。
もっとも一般的なかたちです。
「地元から離れてもう戻らないので、両親の遺骨を自分の傍で供養していきたい」などのようなケースにとられる選択肢です。
元のお墓は解体することになるのが基本です。
「地元には戻らないが、自分も一人身。
自分が死んだあとは祭祀継承者がいない」などのような人におすすめです。
永代供養墓(合葬墓)に入れたり、樹木葬に代表される自然葬に切り替えたりします。
この方法でも、元々のお墓は解体することになります。
「今まではお墓に収めていたが、故人が『しばらく経ったら総本山で供養してほしい』と言っていた」「いったんはお墓に収めたが、妹が『自分の手元でも両親を弔いたい』と言っている」などのようなときには、このやり方を検討しましょう。
分骨とは、2か所以上のところでご遺骨を保管する方法です。
なおこの方法をとったからといって、「体がバラバラになってしまったから、故人が成仏できない」などのようなことはありませんから安心してください。
「親が亡くなった当時はお金がなく、納骨堂に入れていた。
今はお金がたまってお墓も建てられるようになった」という人は、この選択肢をとってもよいでしょう。
納骨堂はそのまま残り続け、解約をすることになります。
「母が亡くなった時に、『自然に還りたい』と言っていた。しかし自分の心に整理がつかず、納骨堂で管理をしてもらっていた。
ようやく気持ちに区切りがついたので、自然葬にしたい」といったケースでは、この方法をとることをおすすめします。
なお永代供養は、お寺の墓地でもできますが納骨堂でも行うことができます。
改葬を行う場合は、以下の手順をとります。
ご遺骨を収めているところに連絡をし、改葬をする旨を伝えます。
また親族にも話をつけましょう。
「葬送儀式」は非常に難しく、またデリケートな話でもあります。
そのためここでもめることもありますが、丁寧に話をして理解を求めましょう。
なお菩提寺の寺に預けていた場合は、これをもって檀家から離れることにもつながるため、特にしっかりした話し合いが必要です。
新しい墓地に話をして、「受入証明書」を出してもらいます。
これがなければ改葬を行うことはできません。
そののち、市町村の役場に行き、「改葬許可申請書」をとります。
埋葬証明書は、「現在の墓地の運営者」から交付されます。
これをもらいましょう。
市町村の役場で書類を提出することで、「改葬許可証」が発行されます。
これを新しい墓地の管理者に提出することになります。
ご遺骨を取り出し、移動させます。
この場合、閉眼供養と開眼供養を行うのが一般的ですが、これは必須ではありません。
「今の墓地の管理者や新しい墓地の管理者から許可が下りない」というケース以外にも、改葬ができないケースがあります。
それについてみていきましょう。
最初の埋葬の段階で合葬を選んでいた場合、個別のご遺骨を取り出すことはできません。
また、海洋葬を選んだ場合も改葬はできません。樹木葬の場合も一部の特例を除き不可能だと考えてください。
「近くにお寺があるので、ここの墓地を使うつもりだ」と考えていても、その墓地が改葬を受け入れてくれるかどうかはわかりません。
必ず事前に問い合わせを行いましょう。
これは単純に「スペース」の問題だけでなく、「宗教や宗派の問題」につながっていることもあります。
改葬は、意外とお金がかかるものです。
どの形態を選ぶかによっても異なりますが、100万円以上かかることも珍しくありません。
場合によっては数百万円が飛んでいくこともありますので、事前に見積もりをしっかりとっておくことと貯金が必要となります。