墓地を購入したい! と考えている人にとって、「どのような流れで墓地を購入するのか」「墓地を購入するとはどういうことか」を知っておくことは、非常に重要だといえます。
ここでは、「墓地を購入するとはどういうことか」「購入するための実際のステップ」について解説していきます。
目次
「墓地の購入」という言葉はよく使われていますが、実際には墓地は「購入」できるものではありません。
墓地は、あくまで「使用する権利」を借りているだけであって、その土地を「自分の物」にできるわけではないのです。
永代使用料を払ったとしても、その墓地は「自分の物」にはなりません。
このため、お墓をどこかに移した後は再び運営・管理者の物となります。
誰かに売ることもできなければ、権利を譲り渡すこともできません(許可を得た場合は除く)。
ただ一方で、このように「あくまで借り物である」という観点から、墓地を持っていても不動産の所得税や固定資産税もかからないといったメリットもあります。
このため、生前に墓地を決めておき、万が一のときに使う……などのやり方もできるのです。
この方法は節税対策にもなるのでおすすめの方法です。
墓地や墓石、仏壇は祭祀財産となり、相続税の課税対象にならないからです。
このように墓地の扱い方は、一般的な「家」「土地」とは異なります。
ただ、「墓地の購入」という言い方は広くみられていますから、ここでも「墓地の購入」とする言い方をとって解説していきます。
墓地は、一度決めてしまえばおいそれとは動かせません。
そのため、墓地を購入する前にしっかりと検討を重ねていく必要があります。
ここでは墓地購入までの流れを5ステップにわけて解説していきます。
現在は弔いのかたちも多様化していっており、「墓地に埋葬する方法」以外の方法をとることもできるようになっています。
海洋葬や樹木葬に代表される自然葬、手元でずっと供養していく手元供養、納骨堂に収める方法、また納骨堂にご遺骨の一部を入れてそれ以外をお墓に入れて……というやり方をとることもできます。
まずは家族の間で話し合い、理想的な弔い方法を考えましょう。
なお故人の意思がエンディングノートなどに記されている場合はそれに従います。
この段階で、自分たちの信仰している宗教・宗派もはっきりさせておくと便利です。
世の中には墓地(や他の埋葬場所)は無数にあるため、この時点での話し合いである程度絞り込み条件を洗い出しておく必要があるのです。
ある程度絞り込めたら、資料請求を行います。
現在は一括で資料を取り寄せられるサイトなどもあります。
資料請求をする段階で、
- ・自分たちの信じている宗教と宗派
- ・埋葬方法(自然葬か納骨堂か一般的な墓地かなど)
- ・埋葬期間(ずっと個別墓なのか、ある程度年月が経ったら合同墓に入れるのか、最初から合同墓にするのか)
- ・場所
- ・予算
などを決めておくと、非常に良いでしょう。
もちろん手あたり次第に資料を請求する方法も悪くはありませんが、上でも述べた通り、墓地(や他の埋葬場所)は無数にあります。
まったく条件をつけない状態で資料請求をした場合、資料を読み込むだけで大変な手間になってしまうこともあるからです。
資料を比較しながらよく見ましょう。
この段階で、候補地を3つ程度までに絞り込んでおくと、次の段階がやりやすくなります。
資料をみたときにすばらしいと感じた墓地であっても、現地に足を運んでみるとイメージが違った……と思うことも珍しくありません。
特に樹木葬の場合、四季によって風景がまったく異なりますから、もし時間に余裕があるのであれば、何度か足を運んでみたいものです。
またアクセスのしやすさもみておくようにしてください。
墓地の見学をせずに墓地を購入してしまうと、後々まで大きな悔いとなって残りかねません。
必ず自分たちで足を運び、墓地の状態や風景を確かめましょう。
一度足を運んでみることで、「疑問点」がまた洗い出されます。
資料だけではわからないこともわかるようになるため、これらの疑問点を運営・管理者側に問い合わせるようにしてください。
特に「供養」という言葉は、多くの意味を含んでいるものです。
「毎日お経をあげて弔ってもらえる墓地」もあれば、「お経などはあげず、単純に管理するだけ」のところもあります。
自分たちが考える「供養」は何か、そして購入しようとしている墓地はそれに対応しているのかどうかを含めて、きちんと問い合わせるようにします。
またこのときの相手の対応もしっかり見るようにしてください。
相手の対応が粗雑だったり、要領を得ないものだったり、はぐらかそうとしている様子がみえたりした場合は、警戒をしてください。
疑問に答えてもらい、不安がなくなったのなら墓地の購入に踏み切ります。
運営・管理者側に連絡をし、契約の意思を伝えてください。
このときには、「契約に必要なものは何か」「いつから墓地を利用することができるのか」などを合わせて確認しておくと無駄がありません。
墓地は、決して安い買い物ではありません。
このため墓地の購入には慎重さが求められます。
また意外に思われるかもしれませんが、日本では、「亡くなった人は〇日以内に納骨をしなければならない」などのような決まりはありません。
急いで墓地の購入に踏み切る必要はなく、納得のいくまで墓地を選び、納得のいくまで墓地の見学をし、納得のいくまで話し合いをしてから墓地を購入することができるのです。
「今は理想の墓地が見つからない」「故人が希望している墓地がまだ空いていないので、しばらく待つ」ということもできます。
またそれとは逆に、上で挙げたように、生前に墓地を購入することもできます。
「自分たちにとっての理想の墓地」を考えながら、慎重に決めていってください。