「ペットは大切な家族である」と考える人も増えています。ただ、ペットはいつかは旅立ってしまうもの。
その死に向かい合い、その死を思い、大切に思い出を抱えていくことは、旅立ったペットに対する愛情でもあります。
今回は、この「大切なペットの遺骨の行方」について解説していきます。
尚ここではこれらを総合して「ペットのお墓」としていますが、実際には一般的なお墓(墓地があり、墓石がある)とは異なる方法で遺骨を収めるやり方もあります。
目次
ペットのお墓は、以下の5つに大別されます。それぞれ見ていきましょう。
- 個別墓
- 合同・合祀墓
- 納骨堂
- 飼い主と一緒に眠る
- 飼い主が自分たちで作るお墓
それぞれ見ていきましょう。
まず初めに取りあげるのは、「個別墓」です。
これは、人間のお墓と同じように個別のお墓に入れて弔っていく方法です。
多くの場合、ペット専用の霊園に安置されることになります。
このタイプのペットのお墓は、費用がかかります。
永代供養付きで30万円ちかくかかることもあり、費用面での負担はかなり大きいと言えるでしょう。
しかしずっと弔っていける形態であるため、「人間と同じように弔いたい」「家族の一員だったから、最後までそのようにして送りたい」「ほかの子と同じお墓に入れるのは嫌だ」と考える人にはこの選択肢が向いています。
なお、年間使用量や年間管理料がかかることもあるので確認してください。
ペットのお墓とはしていますが、基本的には「人間のお墓」と同じようなスタイルをとることになります。
そのため墓地が広ければ広いほど、お金はかかります。
また、ペットのお墓だけでなく、事前の火葬も個別に行うことが前提となるため、その費用がかかることも念頭に入れておかなければなりません。
「合祀」という言い方は仏教の言葉ですが、広く使われている言葉でもあります。
またペットのお墓の場合は宗教的な解釈を細かくする人は少ないため、よく「合同墓・合祀墓」という表現がとられます。
ここでもこのように並列表記してお話ししていきましょう。
合同墓・合祀墓は、その名前の通り、他の子の遺骨と一緒に祀る方法を言います。
多くの場合、1つの大きな墓石があり、その下にペットの遺骨を収めることになります。
大きさによって値段が変わることもありますが、個々のお墓よりもその費用はずっと安く、10000円前後で納骨をすることができます。
また、管理費用や年間管理費用も掛からないケースが多く、経済的な負担が少ないのも特徴です。
「賑やかなところが好きな子だったから、あっちの世界でもみんなで賑やかに過ごして欲しい」
「寂しがりやの犬だったから、他の子と一緒に眠らせてあげたい」
「個別のお墓を用意するだけの費用は用意できないが、それでもお墓に入れてあげたい」と考えるご家庭に向いている弔いの形です。
人間が亡くなった時のご遺骨の安置場所の一つとして、「納骨堂」が挙げられます。
ペットのお墓の場合も、この「納骨堂」が選択肢として挙がってきます。
納骨堂のもっとも大きなメリットは、「全天候型である」ということでしょう。
室内に祀られているため、天候を気にせずにお参りすることができます。
また現在の墓石は非常に強く、頑丈で美しいものではありますが、風雨による経年劣化は避けられません。
もちろん室内に置いてあるものも徐々に劣化していくのですが、その劣化の速度は、外にあるものよりもずっと緩やかです。
そのため、「いつまでも、いつどんな時でも美しい状態のペットのお墓に向き合いたい」と考える人には納骨堂が向いています。
納骨堂の料金システムは様々です。
永代供養を前提としているところの場合は30万円程度の費用が必要になるところもあります。
その一方、「1年区切りのシステムをとっている。翌年に継続するかどうかは、ご家族の自由。1年の費用は20000円前後」としているところもあります。
自分たちがどのような風に弔っていきたいかをよく考えて、プランを選択しましょう。
「家族なのだからいつまでも一緒にいたい」と考える人もいるでしょう。
そんな人のために、ペットと一緒に入ることのできる埋葬方法も提案されるようになりました。
樹木葬がその最たる例です。
樹木葬では、「ペットと一緒に眠ることができる」として打ち出しているところが数多くあります。
このようなところを選べば、最後まで一緒にいられるでしょう。
また現在は、寺院墓地でもペットの遺骨を人間のご遺骨と一緒に入れることを許可しているところもあります。
ただし樹木葬でも「ペットの遺骨だけを先に入れることはできない」としているところもあります。
この場合は手元供養をしていき、飼い主が旅立った時点で一緒に入れることになります。
また寺院墓地の場合、許可しているところはあるものの、その数は限られています。
ここまでは、「ペットのお墓を新しく建てる」「ペットのお墓に入ること」を前提として解説していきました。
しかし自宅の庭などに埋葬するのも立派な弔いの一つです。
土の中に埋めて手を合わせるのもよし、木などを建てて墓碑とするのもよいでしょう。
「家にずっとい続ける」という意味では、納骨などをせず、手元でずっと供養し続けるのも一つの手です。
現在はペットを弔うための仏壇なども出ています。
これらの仏壇は小さいものが多く、また非常に愛らしい形のものが多いのが特徴です。
人間の弔いのかたちに正解がないように、ペットの弔いのかたちにも正解はありません。
大切なのは、残された飼い主たちが大切なペットの死に向き合い、それを受け入れるために動くことなのです。
例えペットが旅立ったとしても、彼らがくれた愛情が色合わせることは、決してありません。