「永代供養」とは、「その後の墓守を必要とせず、面倒を見ていってくれるスタイル」をいいます。少子化が進む今、注目を浴びているかたちでもあります。
ただ一口に「永代供養」といっても、その種類はいろいろあります。
主に
- 最初から合葬するタイプの永代供養墓
- 最初は個別で埋葬しており、その後合葬するタイプの永代供養
- 納骨堂
- 樹木葬
の4つに分けられますが、ここではそれぞれのメリットとデメリットについて記載していきます。
また、どの方法にするかで永代供養の相場も変わってきます。
なお、手元の仏壇などにご遺骨を置き供養していくこともできます。
ただこれの場合、「供養していた人が亡くなった場合」は、上記のいずれかの埋葬方法を選ぶ必要が出てきます。
目次
納骨の段階でほかの人と一緒に合葬するタイプの埋葬方法は、費用が非常に安いのが特徴です。
「骨壺に入れて埋葬する」「骨壺から出して埋葬する」どちらかの形式を選ぶことになりますが、どちらの場合でも個別の墓は持ちません。
また、追加費用も発生しません。
50000円~30万円程度で埋葬することができるので、経済的な負担はもっとも軽いといえます。
なおこのかたちは「セーフティネット」としても機能しています。
身元不明者などもこの合葬というかたちで葬られているのです。
「死んだあとにはお金を掛けてほしくない」などのように考える人はこの方法がよいでしょう。
しかしこのやり方の場合、一度選択すると改葬はできないものと考えてください。
また「まったく知らない人と一緒に入ることになり、しかもお骨まで全部まじってしまう」ということで、強烈な精神的抵抗感を覚える人も多いといえます。
この方法をとるのであれば、親族間での話し合いは必須です。
「最初は個別の墓に入っており、ある程度時間が経ったら合葬される」というものです。
「ある程度の時間」は、「三十三回忌まで」とされることが多いようです。
永代供養のなかでもっとも抵抗感が少ないかたちであり、一般的なお墓のように運営していくことができます。
「三十三回忌をもって法要(法事)も弔い上げとするので、そのタイミングで合葬とする」などのようなこともできます。
三十三回忌だと代替わりをしていることも多く、「少子化ゆえの永代供養」を考えるのであればこのかたちが理想的といえます。
三十三回忌(など、定められた期間)までは合葬されないため、「改葬したい」という相談も受け付けてもらいやすいでしょう。
「何事もなければ永代供養としてもらうが、選択肢も増やしておきたい」と考える場合にも有用です。
しかしこのかたちの場合、「個別の墓を建てなければならない」という前提があります。
費用も250万円~500万円程度もかかり、決して安いものではありません。
このためこの方法は、「お金には余裕があるけれど、祭祀継承者がいない」「お金にはあまり困っていないが、一人娘は海外に住んでいる」「自分たちの世話は最後まで自分たちで行いたい」と考えている人向けの選択肢だといえます。
「納骨堂」は、屋根のある施設の中で弔いをしていくものです。
駐車場があったり、駅からのバスが出ていたり……と交通の便が良いところに建てられていることも多く、残された人が年を取ってからも足を運びやすいのがポイントです。
また、その特性上、全天候型です。
「納骨堂はお墓のマンション」という言葉を聞いたことのある人もいるでしょう。
また、そっけないロッカー型のものを想像する人もいるかもしれません。
しかし実際には納骨堂にはさまざまな収骨方法があり、お墓のようになっているものもあります。
ロッカータイプのものや仏壇タイプのものもありますし、「納骨堂の中にあるシンボルの下に、合葬で眠る」というタイプもあります。
それぞれの好みに応じて、「埋葬されるかたち」を選べるのも納骨堂の魅力だといえます。
費用は、かたちによって異なります。
20万円~200万円程度でしょう。
自分たちの予算に合わせて選び分けられるのは大きなメリットです。
清潔に掃除された空間ですから、過ごしやすいでしょう。
ただし納骨堂の場合、「気が向いたときにふらっと足を運ぶ」ということはできません。
納骨堂の開いている時間しか入ることができないからです。
また今回紹介している選択肢のなかでは唯一、「自然の空気を感じることが極めて難しいかたち」でもあります。
シンボルツリーの下で眠る「樹木葬」は、近年富に注目を浴びるようになった方法です。
この方法にもいくつかバリエーションがあり、合葬や個別に眠るもの、家族も一緒にいられるものなどさまざまです。
ほかの永代供養では拒否されることも多い「動物(ペット)と一緒に眠ること」を許容している樹木葬施設も多くみられます。
またこの方法の場合、自然と一体化できるというメリットもあります。
自然が好きな人には非常におすすめのかたちです。
シンボルツリーに手を合わせるかたちですが、プレートなどを置くことができる設備もあります。
樹木葬は墓石を持たないため、5万円~40万円程度で埋葬が可能です(ただし上でも述べたように、プレートなどを置くことができるものもあります)。
デメリットとしては、「自然災害が起きたときにどんな影響が出るかわからない」という点です。
また、季節や木によっては非常に寒しく見えることもあります。
加えて、「樹木葬にした後にやっぱり改葬をしたい」と考えたとしても、ほとんど不可能です。
この点には注意しておかなければなりません。
「永代供養」の概念は、現在非常に注目を集めています。
また墓地運営者側も、それに呼応するようにさまざまなプランを打ち出すようになりました。
ただし一口に「永代供養」といってもその種類は多岐に及びます。
「永代供養にはどんな種類があるのか」「自分たちの理想とするかたちはどれか」を、費用と合わせて考えていってください。