少子高齢化社会が進む今、「先祖代々の墓」を受け継ぐ祭祀継承者がいない・あるいは将来的にいなくなるであろうことが予想されるケースも増えています。
そのような事情を鑑みて、近年注目を浴びている単語があります。
それが、「永代供養」です。
目次
「永代供養」とは、ごく簡単にいえば、「一度入ったお墓を、運営団体や寺院などが管理していってくれるかたち」をいいます。
たとえ祭祀継承者が途絶えてしまった後であっても、これらが管理をしていってくれるため、安心してお任せすることができます。
永代供養のかたちは数多くあり、
- ・一般的な墓地で、永代供養で弔っていくことができる
- ・樹木葬
- ・納骨堂
などのパターンがあります。
ただ、この「永代供養」という言葉にはいろいろな意味があります。
専門サイトであっても、「すべてのパターン」を網羅できているわけではありません。
実際には可能なことを「不可能である」と断言しているパターンもあります。
ここではできるかぎり詳しい情報を、Q&A方式でお伝えしていきます。
A.永代供養をお願いした場合は、
1.最初から合葬される場合
2.何年間かは個別の墓であり、一定期間が経過したのち合葬される
3.合葬されない
の3パターンがあります。
最初から合葬される場合は、1つの大きなお墓や塔などの下にほかの人のお骨と一緒に納まるかたちになります。
個別のお墓は持ちませんが、費用がもっとも安く済むのが特徴です。
「埋葬後何年かは個別のお墓で眠り、ある程度時間が経ったら合葬される」というパターンの場合は、「祭祀継承者が途絶えた」あるいは「あまりこだわらなくなった」というタイミングで合葬できるのが特徴です。
「何年めに合葬されるか」は寺院などによって異なりますが、三十三回忌のタイミングで行われることが多いようです。
「永代供養の場合は最終的には合葬される」としているホームページなどもありますが、これは正しくはありません。
一部の墓地では、「合葬はされない、しかし運営団体が永代供養をつとめる」としています。
この場合は何年経っても、ほかの人と一緒に眠ることはありません。
ただし供養自体は合同で行われます。
このかたちは、「生涯に渡って自分たちだけのお墓を持ち続けたい」と考える人にとって有益な選択肢となりますが、選択肢が狭くなるのが難点です。
また、「合葬されることはない」としていても、「お寺自体が破綻した」などのような特殊なケースに陥った場合はまた状況が変わってくる可能性はあります。
A.あげ続けてくれるところもあれば、あげてもらえない場合もあります。
「永代供養」は「供養」と入っていることから、「ずっとお経をあげてもらえるのだ」と考える人もいるでしょう。
しかし実際には、「永代供養」は「ずっと管理し続けます」という意味合いで使われることも多い言葉です。
無宗教・あるいは宗教を問わないとしている樹木葬の場合などは、お経はあげずに管理だけをし続ける……という場合も多く見られます。
しかし寺院の墓地などの場合は、朝夕のお経や折々の法要のときにまとめてお経をあげてもらえることもあります。
「お経をあげてもらえるかどうか」を重要視するのであれば、事前に確認をしておきましょう。
A. 永代供養のかたちによって異なります。
上でも述べたように、「個々の墓石やお墓を持ち、ある程度時間が過ぎたら合葬する」というようなケースでは墓石を持つことになります。
対して、初めから合葬を希望していた場合は、個々で墓石を持つ必要はなくなります。
また、樹木葬のようなかたちにした場合はそもそも墓石は持ちません。
ちなみに「墓石」ではなく「プレート」で対応する場合もあります。
A. 永代供養を扱うすべての墓地の情報を集められるわけではありませんが、寺院が運営する永代供養墓地でも「生前の宗教・宗派は問わない」としているところが圧倒的多数だといえます。
この場合は以下の3つのパターンに分かれます。
1.お経をあげるなどの宗教儀式については特に記載がない
2.すべての宗教に共通する呪文を唱えるとしている
3.生前の宗教・宗派は問わないが、納骨後はそのお寺の掲げる宗派での弔いとする
宗教法人が管理している納骨堂などはこちらのケースが多いように思われます。
「無宗教だが供養はしていきたいので、お経をあげていってくれるところを求めている」「イスラム教徒などのほかの宗教を信じており、仏式のお経をあげられるのは嫌だ」などの希望がある場合は、事前に確認してください。
非常に珍しいかたちですが、「さまざまな宗教・さまざまな宗派に共通する原理を説く呪文を唱えて、故人をお慰めする」としているところもあります。
「生前の宗教や宗派はどんなものであっても構わないが、寺院が管理している墓地であるため、利用する場合はその宗派(浄土真宗など)のかたちで供養していく」とするものです。
このかたちも比較的よくみられます。
「永代供養」という言葉には、数多くの解釈があります。
また、永代供養墓地を管理する運営団体でも考え方に違いがみられます。
このため「弔い」をあまり意識してこなかった人にとっては、戸惑うことが多い単語でもあります。
「自分の考えていた『永代供養』と運営団体が考える『永代供養』の意味が違っていた」などの状況になってしまった場合、後悔も大きいことでしょう。
このため、永代供養を考えるのであれば、自分の疑問を運営団体側に率直にぶつける必要があります。