通夜や葬式、また追悼行事のときに、宗教者にお渡しするものとして「お布施」があります。このお布施は、私たちを悩ませるものでもあります。
ここではこの「お布施」について、
- ・お布施とはそもそもどういうものか
- ・お布施の金額の相場はどうやって知るのか
- ・お布施の金額の相場
について解説していきます。
目次
現在でこそお布施は、「お経をあげてくれた僧侶に対して支払う『費用』」という風に認識されていますが、もともとはお布施は仏教の修行のひとつとして考えられていました。
「自分の持っているものを、ほかの人に施しを与えること。また、施しを与えるときには条件をつけたり見返りを求めたりしないこと」を、仏教では修行ととらえていたのです。
現在は「戒名料」などのようにいわれることもありますし、実際に現在のお布施はこのような側面も持っています。
戒名の種類によってお布施の金額が変わってくるのは暗黙の了解ですし、ホームページなどによっては「戒名の違いによるお布施の相場」についてもとりあげています。
これはある意味では正しいことですし、非常に「現在の考え方に即した」解説だといえるでしょう。
しかし上記のような大前提があるため、少なくとも寺院側では「戒名料」という言葉は積極的には使いません。
僧侶に渡したお布施は、僧侶地震の生活費になることもありますし、お寺を存続させるために使われることもあります。
また、お布施をお渡しすることで、仏様を祀っていくこともできるため、仏様に捧げるためのものと解釈されることもあります。
上記でも紹介しましたが、お布施は(現在の実態はともかく)「対価」「費用」ではなく、あくまで「感謝の気持ちを示すもの」としてとらえられます。
このため、明確に「〇円」とされることはあまりありません。
実際、寺院側に問い合わせても、「お気持ちだけで」「お心のままに」などのように濁されることが多かったといえます。
日本では「冠婚葬祭のときのお金に糸目をつけるのはみっともない」という考え方もあったことから、昔はお布施の金額はベールに包まれていました。大っぴらに言われることはなく、多くの人が迷いのなかでお布施を包んでいたという経緯があります。
しかし葬儀や弔いのかたちが移り変わっていった現在では、お布施の価値観やどのようにして支払うのかなどのやり方も変わっていっています。
現在においては、お布施の相場を聞くことは決して恥ずかしいことではなくなっているのです。
もっとも手っ取り早いのは、この記事を読まれているように、インターネットで調べることでしょう。
葬儀会社が運営しているホームページなどでは、具体的にお布施の金額を明記し、わかりやすく解説しています。
基本的にはこれに従うようにするとよいでしょう。
もう一つおすすめしたい方法として、「葬儀会社に相談する」というものがあります。
お布施の金額は、どうしても「地方差」が出てくるものでもあります。
たとえば同じ在来仏教であっても、「その宗派を信仰している人が多い地域と、少ない地域」では包む金額に差が出てきます(信仰している人が少ない地域の場合、そうではない地域に比べてお布施の金額が高くなる傾向にあります)。
インターネットの情報は、多くの場合「全国区」「日本全土」を対象として書いてあります。
そのため、大変有益ではあるものの、細かい地方差までは押さえ切れていないのが普通です。
しかし葬儀会社の場合は、長くその地域に根差して展開していることが多いため、「地域ごとの特性」を踏まえたうえで、「お布施の相場」を知ることができるのです。
迷ったのならば、葬儀会社に相場を聞きましょう。
なお、お布施はあくまで、「喪主から僧侶に直接渡すもの」です。
葬儀会社に聞けば金額の相場は教えてくれますが、「葬儀会社にお布施を渡して、葬儀会社から僧侶に渡してもらうこと」はできません。
お布施の金額については後述しますが、お布施の金額は決して安くはありません。
また「明朗会計が良い」ということで、「僧侶派遣サービス」を利用したくなる人も多いことでしょう。
僧侶派遣サービスの場合、ホームページに明確に料金が書かれていることが多く、包むべき費用に迷わなくて済むというメリットがあります。
また、総じて僧侶派遣サービスの場合、自分自身で菩提寺に連絡を取るケースよりもお布施の金額が抑えられるというメリットがあります。
しかし僧侶派遣サービスを使った場合、菩提寺との関係の悪化は避けられません。
特に「菩提寺の墓地に先祖代々の墓があり、故人もそこで埋葬する」というようなケースで、僧侶派遣サービスを勝手に使ってしまうと、「うちの寺に連絡をしないで僧侶派遣サービスを使うのならば、墓は使わせない」と言われてしまうこともあります。
このため、僧侶派遣サービスを利用するのであれば、菩提寺との関係について今一度考える必要があります。
お布施の相場は、宗派によって異なります。
またどのような戒名を選ぶかによっても異なりますし、地域性も出てきます。
ただそれでも、平均額を求めるとするのであれば、「約50万円程度」ということになるでしょう。
また、「年収の10パーセント程度」としているところもあります。
一般葬でお見送りする場合は、30万円程度が下限となるでしょう。
また、「葬儀の規模が大きく、僧侶の数も多い」などのようなケースでは、お布施の金額も上がる傾向にあります。
格の高い戒名を選んだ場合は、お布施の金額が100万円を超えることも珍しくありません。
お布施で支払う金額は、葬儀費用の実に4分の1を占めるといわれています。
葬儀会社のプランのなかにはこのお布施の金額は含まれていません。
そのため、プランを選ぶ際には、「これにプラスしてお布施が発生するのだ」と考えて予算組みをしなければなりません。