「日蓮聖人」は、仏教を語るうえで非常に重要になってくる人物です。
ここでは、日蓮聖人の生涯とお墓、そしてその墓地で私たちが眠れるのかどうか、を解説していきます。
日蓮聖人は、1222年に千葉県に生まれました。
12歳のときに仏門に入り、16歳のときに正式に出家をします。
17歳のときには鎌倉に勉学に出かけ、21歳からは比叡山で学ぶことになります。
そして32歳の4月28日に、「日蓮」の名前を名乗り、開宗を宣言します。
その後、日蓮上人は布教を続けます。
複数回の流刑にあいながらも、仏様に対する深い信心を持ち続けた日蓮聖人は、61歳で没するまで、その教えを広め続けていきます。
彼が入滅したのは、10月13日だったと言われています。
しかしそのときには、季節外れの桜が咲き、日蓮聖人の死を悼んだとされています。
現在、日蓮聖人がひらいた「日蓮宗」は、在来仏教のうちのひとつと考えられています。
日蓮宗は「妙法蓮華経(法華経)」を最高の経典と位置付けており、仏・法・僧の3つに帰依すべきであると考えています。
ちなみにこの妙法蓮華経は、「人はだれもが平等であり、まただれもが成仏できる」と考えます。
だれでも、いつの時代でも、どんなものであっても、観音菩薩の名前を唱えさえすれば救われるという考え方は、仏の大いなる慈悲にすがるもので、救いを求める庶民の心強い味方となりました。
特に日蓮聖人が生きていた鎌倉時代は、戦や自然災害によって理不尽に命を奪われることもあり、力を持たぬ庶民が自らの救いを仏教(日蓮宗)に求めたことは、ある意味では自然なことだといえるでしょう。
また、日蓮宗では、「今、現在」を生きる正しさや大切さを説く仏教でもあります。
日蓮聖人のひらいたこの日蓮宗は、日本全国に広く散っていきます。
また海外でも日蓮宗を信じる人は多く、仏教の代表的な宗派のひとつとして、広く知られています。
さて、この日蓮聖人のお墓ですが、彼が眠る場所は3か所あるといわれています。
まず1つ目が、山梨県にある「身延山久遠寺」。
2つが、東京にある「池上本門寺」。
3つめが、静岡県にある「大石寺」。
それぞれ解説していきます。
山梨県の南巨摩群にある身延山久遠寺は、日蓮宗の総本山(日蓮宗を統括する寺。「大本」の意味もある)でもあります。
ここは日蓮聖人と深い関わりのある山です。
彼は、命を引き取るまでの約9年の間、この身延山久遠寺に身を置いたとされています。
ただ、亡くなる1か月ほど前の9月8日、体を悪くした日蓮聖人は、湯治のためにこの身延山久遠寺を後にすることになります。
最終的に日蓮聖人が息を引き取ったのは、次に紹介する「池上」ですが、身延山久遠寺はその後も日蓮宗の総本山であり続けています。
また、日蓮聖人はこの身延山久遠寺で身を休めることを望み、身延山久遠寺に埋葬されることになりました。
そのため、身延山久遠寺の境内には、「御真骨堂」と呼ばれる場所が設けられており、ここに日蓮聖人のご遺骨が置かれています。
なお、非常に美しいしだれ桜があることでもよく身延山久遠寺の名前が知られています。
さてこの身延山久遠寺では、「納骨」というかたちで、日蓮聖人のおひざ元で眠ることができます。
日蓮聖人のお墓をお守りしている地域に建てられた合同の供養塔に入ることもできますし、白木の位牌とご遺骨をセットにして納めることもできます。
普通納骨の場合は50,000円で納骨ができます。
白木の位牌とセットで収める場合は、5年(10万円)・10年(20万円)・20年(30万円)・50年(50万円)のパターンに分けられています。
また、「菩提寺がないあるいは菩提寺からの許可をもらっている」という場合は、すべてのご遺骨を納めることができます(200万円)。
また、生前に納骨の予約をすることもできます。
「日蓮聖人が埋葬されている身延山久遠寺で一緒に眠りたい」と考える人にとっては、身延山久遠寺の最後の居場所としての有力な選択肢となるでしょう。
身延山久遠寺を降りて当時に向かおうとした日蓮聖人でしたが、すでに病は進んでおり、道半ば、池上の地で息を引き取ることになります。
そして日蓮聖人は、この池上本門寺の多宝塔で荼毘にふされることとなりました。
このため、池上本門寺は、日蓮聖人のご灰骨を守ることとなりました。
現在は、八角堂の御廟所にこれが収められています。
なお、池上本門寺に残る五重塔は非常に歴史が古く、関東地方に残っているもののなかではもっとも長い歴史を持っているとされています。
池上本門寺では、
- ・五重塔の裏側
- ・日蓮上人像の奥
- ・平成真墓地
の3か所に墓地を設けています。
永大使用料はいずれも450万円ですが、ここに入るためには日蓮宗に帰依~檀家になることが条件で、入檀寄付金として100万円がかかります。
また、年間費用などもかかりますし、ここに墓石代も加算されることになります。
「日蓮聖人のご灰骨があるところで、代々引き継いでいけるお墓がほしい」という人にとっては、この池上本門寺は非常におすすめです。
大石寺は、静岡県にあるお寺です。
日蓮聖人には、池上で定めた本弟子が6人いたとされています。
日蓮聖人は彼らに、「力を合わせて法華経を広めていくこと」を命じました。
大石寺は、その6人の本弟子のうちの1人が立ち上げた「日蓮正宗」の宗派の、総本山です。
このような特徴を持つ大石寺には、日蓮聖人のご遺骨が分けられて納められているとされています。
大石寺は700年以上にわたって、日蓮聖人の教えを忠実に引き継ぎ、またこれを広めているとされています。
尚、もともと「堂内への立ち入りは、日蓮正宗信徒もしくはその同行者」と決められていましたが、2020年8月現在、新型コロナウイルスの流行により、人数制限などを設けています。
また、登山の申請は1週間前に行わねばならないなどの制限もかけられています。
今から800年近くも昔に生まれ、仏様の教えを広めた日蓮聖人。
彼の教えは今もなお広く人々に親しまれていますし、日蓮聖人のおそばにお墓を建てたいと考える人が多くいます。