自分が産まれる前からご先祖のお墓が建っていたという人は多く、お墓がそこにあるのが当然のことと思っている方も多いと思います。
ただ、今あるお墓を違う場所に移すことができるというのをご存知ですか？
そのようにお墓の引越しをすることを改葬といいます。今回はお墓の改葬についてご紹介します。
改葬とは、埋葬された遺骨を別のお墓に移動することを言います。
墓じまいという似た意味の言葉もありますが、墓じまいはお墓を撤去してお墓のあった場所を更地に戻し、遺骨は散骨したり永代供養墓に納めたりします。
一方、改葬はお墓をなくすのではなく、今あるお墓を違う場所に移したり、新しいお墓を建てたりしてそちらに遺骨を移動することを言います。
ではお墓を移すのにはどんな理由があるのでしょうか？
その理由として多いのが、遠方にあるお墓の管理が難しくなったからというものです。
地元など年に数回しか訪れないような場所にお墓がある場合、年に一回お墓参りに行ければ良い方でしょう。
お墓はなるべくなら頻繁に供養や手入れをしてあげたいものですが、遠い場所にあると管理しきれないのも無理はありません。
そのような場合、今住んでいる場所の近くにお墓を移したいと考える方が多いようです。
それ以外にも、今お墓を建てているお寺や霊園に不満がある、遺族にお墓管理の負担をかけたくない、など理由は人によって様々です。
お墓の移動も、家の引越しと同様に届け出などのいくつかの手続きが必要となります。
実際にお墓を改葬すると決めたら、どんな流れで何を準備していけば良いのでしょうか？
まず、新しいお墓を建てる移転先を準備する必要があります。
寺院墓地にするのか公営墓地にするのか、どの宗派にするのかなど、ご家族で相談して決めるのが良いでしょう。
場所を決めたら、石材店に連絡をして新しい墓石を購入します。
何時までに新しいお墓が建つのか、スケジュールの確認を行っておきましょう。
墓地によっては石材店を指定している場合もありますので、事前に確認するようにしましょう。
次に、少々面倒な書類の準備です。
まず移転先の墓地管理者から受入証明書、もしくは墓所使用承諾証を受け取ります。
そして、現在お墓がある墓地の管理者からは埋葬証明書を発行してもらいます。
埋葬証明書とは、お墓に遺骨が納められていることを証明する書類で、遺骨一体につき一枚の埋葬証明書が必要となります。
この2つの書類を準備したら、最後に改葬許可証を申請します。
改葬許可証とは、遺骨をお墓から出して別の場所に移すことの許可を得たという証明で、この書類がないまま遺骨を移してしまうのは違法となります。
発行は、お墓がある場所の自治体となりますので役所に申請に行かなければなりません。
これらの書類の発行手続きは法的な部分ですから、改葬に詳しい石材店などの専門家に相談してみるのが良いでしょう。
これらの手続きを含めて改葬の手続き全体を代理で行ってくれる石材店もありますので、そういったサービスの利用を検討するのも良いかもしれません。
最後に遺骨を新しいお墓に移動して、元の墓地を撤去します。
墓地の撤去は、石材店にお願いをすることになります。
元の墓地から遺骨を取り出す際には、閉眼供養と呼ばれる法要を行います。
これは墓地に宿っていた故人の魂を抜き出し、墓石をただの石に戻す供養です。
閉眼供養を行って遺骨を取り出した後、墓石の撤去作業が始まります。
そして、移転先の墓石が完成したら、開眼供養という墓石に魂を入れる法要を行い、遺骨を納骨しましょう。
これで墓地の引越しは完了です。
ここまで新しいお墓を建立して遺骨を移動する方法をご紹介してきましたが、もともと使っていた墓石を再利用することもできるようです。
元のお墓の墓石を新しい墓地に移動するのですが、その際にはまずその墓石が再利用に耐えられる状態の石かどうかを確認しましょう。
また、改葬先の墓地によっては、墓石の再利用を断られる場合もありますので墓石ごと移転してよいのか確認が必要です。
改葬先の墓地まで距離がある場合などは、墓石の移動費用にも結構な金額がかかることもあります。新しい墓石を購入する場合の費用と比較してみても良いかもしれません。
今回はお墓の改葬について見てきましたが、新しいお墓を準備したり元のお墓を撤去する手配をしたりと、きちんとした準備が必要だと分かりました。
手順については今回簡単にご説明してきましたが、書類の部分など法的な手続きは一般の人がいざ行おうとしても不安や疑問が出てくると思います。
分からないことがあったりトラブルが起きたりした場合、お墓の専門家に相談するのも良いでしょうし、代行業者に手続きすべてを任せてしまうのも良いかもしれませんね。
