「骨壺」は、火葬のときに用いられるものです。
この「骨壺」の概略を説明するとともに、収骨のやり方や現在の骨壺事情、などについてお教えします。
目次
骨壺とは、その名前の通り、「ご遺骨を納めるための壺」のことをいいます。
大きさはさまざまですが、女性や子どものものは小さく、男性のものは大きい寸法で作られています。
またこの「骨壺のサイズ」は地域差が出るともいわれています。
関東ではすべての遺骨を集める「全収骨」が基本で、関西では一部だけを入れる「部分収骨」が基本とされています。
そのため地域によって、「基準となる骨壺」の大きさが違ってくるともいわれています。
葬儀会社に勤めている人であっても、「部分収骨(あるいは全収骨)は見たことがない」という場合もあります。
詳しくは後述しますが、現在の骨壺は多様化しています。
そのため骨壺の材質もさまざまですが、特段の説明がない限りは陶磁器製だと考えるとよいでしょう。
日本では、亡くなった人のうちの99パーセント以上が火葬に付されます。
一部の特例を除き火葬で弔っていくため、「火葬された後のお体から、骨を骨壺に収める作業」が必要となります。
これは「収骨」「お骨あげ」などと呼ばれます。
お骨上げをする際は、以下の流れで行われます。
ただし、「火葬場と併設の斎場で葬式・告別式を行った」という場合は、管内を移動するだけにとどまります。
火葬炉の前で最後のお別れをします。
仏教ならばこのときに読経が行われることもあります。
これが、「肉体を持った故人との最後のお別れ」になります。
悔いが残らないようにしましょう。
火葬炉のスイッチを入れます。
これは火葬場の職員が行うこともあれば、喪主が行うこともあります。
あくまで体感的なものであり統計をとったわけではありませんが、火葬場の職員が行うことが多いように思われます。
火葬は、すぐに終わるわけではありません。
このため控室で軽食をとったりお菓子を食べたりしながら、焼き上がりを待つことになります。
体の大きさにもよりますが、1~3時間程度かかると考えてください。
火葬が終わったら、火葬場の職員がお知らせしにきてくれます。
なお葬儀会社によっては、火葬場の職員から葬儀会社のスタッフに話がいき、葬儀会社のスタッフが案内することもあります。
収骨室に息、案内を聞きます。
収骨を開始します。
収骨には、長い箸が使われます。
この箸はそれぞれ材質が違い、片方が竹で、片方が白木……などのようになっています。
また2人1組で同じご遺骨をつまんで骨壺に入れていきます。
これは葬儀の「逆さ事(わざと逆のことをする)」に由来するといわれています。
逆さ事は、「死の世界と生世界を区別するためのもの」と考えられており、葬儀の現場で広くみられます。
ご遺骨を収めていく順序は、地域などによって異なります。
ただ比較的よくあるケースとしては、「足の方から入れていき、最後に頭がい骨で蓋をする」というものです。
骨壺を持って移動します。
地域によって差がありますが、「火葬の後に食事をとる」としている場合は、喪主やそれに近しい立場の人間が喪主を抱えて移動することになります。
繰り上げ初七日法要や会食の席が持たれます。
このとき、骨壺は目立つ場所に鎮座させておきます。
この後は、骨壺を家に持って帰ることになります。
四十九日法要のタイミングや一周忌のタイミングでお墓に納骨するのが一般的ですが、これには「〇日までに埋めなければならない」という明確な決まりがあるわけではありません。
そのため、埋葬時期や供養のやり方は自由に選んでいくことができます。
なお埋葬を行うときに必要となる埋葬許可証明書は、現在では葬儀会社のスタッフが代理でとってきてくれることが多いです。
その場合、骨壺と一緒に骨壺を包むための布の中に入れられていることもあります。
一般的な骨壺は、非常にシンプルなものです。
基本的には白い無地の陶磁器であり、飾り気はありません。
基本的には葬儀会社に依頼した場合、この「白い無地の、スタンダードな骨壺」はプラン内容に含まれています。
また、骨壺を包む布もつけてもらえます。
ただ、葬儀や墓のかたちが多様化していったように、骨壺にもこだわりたい……と考える人もいるでしょう。
その場合は生前に買っておくのがおすすめです。
また「後になってエンディングノートに書かれていた」と気づいたのならばその旨を葬儀会社のスタッフに伝えましょう。
骨壺は、自分で好きなものを選ぶことができます。
たとえば、「花柄の模様がついたものが良い」「七宝焼きが好きだ」「九谷焼が好きなので、九谷焼の骨壺が欲しい」などがあれば、自分で用意しましょう。
なお、非常に可愛らしく優しい色愛合いで、インテリアによくなじむ骨壺なども登場しています。
なかにはフォトスタンドと見分けがつかないようなミニ骨壺もあるのです。
ただ、こだわった骨壺を選ぶ場合は、「費用はどれくらいかかるか」をしっかり見なければなりません。
骨壺の値段は10万円を超えることもありますし、なかには100万円以上のものさえあります。
純銀製の骨壺などは非常に高額であり、それ自体が芸術品としての価値を抱いているものさえあります。
このような「従来のようなかたちではない骨壺」に違和感を抱く人もいるかもしれません。
しかし多様化していく「弔いのかたち」に合致した考え方だともいえます。
骨壺のかたちには、正解はありません。
しかし骨壺は、大切な人のご遺骨を収めるところです。
また、私たち自身もこの骨壺に収まったうえで納骨堂や墓地などに埋葬されることになります。
墓地同様、「最後の居場所」でもあるため、後悔のないように選びたいものです。