「石といえば大理石」と考える人は、決して少なくはありません。
大理石は非常に知名度の高い石ですし、その活用場所は多岐に及んでいます。
しかし、こと「墓石」に関しては、大理石はあまり使用されることがありません。
ここでは、「なぜ大理石は墓石として使われないのか」「どうしても使いたい場合はどうすればよいのか」について解説していきます。
「大理石」は、非常によく知られた石です。
大理石は、石灰岩(動物の遺体などが積み重なって作られた石のこと。
なお、海の中で作られる)がマグマの影響を受けてできあがった石のことをいいます。
マグマの圧力や熱によって、石灰岩は大理石へと変化していくのです。
うつくしい模様を持つ大理石は、「マーブル(marble)」とも呼ばれます。
大理石は非常に表情が豊かな石です。
ベージュのものもあれば、灰色と白で構成されたものもあり、白地に茶色の模様を抱くものもあります。
それ以外にも、緑や赤色といったさまざまな色を呈します。
とても美しく、また高級感のある石であるため、多くの用途に使われてきました。
美術品に加工されたり、デパートなどに用いられたりしている大理石は、「高級な石」の代名詞ともなっています。
ただ、このように「知名度の高さ」「美しさ」「品の良さ」を持っている大理石ですが、これは墓石に利用されることはほとんどありません。
それは大理石の持つ、「石としての性質」によります。
大理石は炭酸カルシウムを主成分としている石です。
このため、熱に弱く、酸にもとても弱いのです。
そのため、酸性雨にさらされると溶けだしてしまうというデメリットを持っています。
もちろん、たった1回雨に打たれただけならばそれほど影響はないでしょう。
しかし墓石は基本的には屋外に設置されるもので、しかも長い間(場合によっては100年以上)もそこにあり続けるものです。
つまり雨を受ける回数も非常に多くなり、このようなデメリットが顕在化しやすい状況にあるのです。
また、大理石はそれほど強い石ではありません。
かなり柔らかい石であることは、芸術品を作り出すときには役立つこともありますが、墓石にするには不適当です。
刃物にも弱く、飛来物などで傷つく可能性も高いといえます。
さらに「吸水性が高い」というデメリットもあります。
上では「雨の影響」として「酸」を取りあげましたが、雨のしずく自体が大理石にシミとなってこびりつきやすいというマイナス点も持っています。
海外においてはそれでも、大理石を墓石に使うことも頻繁に行われています。
しかし日本の場合は墓石に「永続性」を求める傾向が強く、墓石の劣化を良しとしない人も多くいます。
このような理由から、大理石は墓石にはあまり利用しにくいという状況ができあがったわけです。
日本では大理石の代わりに、花崗岩(かこうがん)がよく使われます。
「御影石(みかげいし)」といった方が分かりやすいかもしれません。
これは大理石とは対極の性質を持ちます。
高い硬度を誇り、飛来物に強く、吸水性も極めて低いという特徴があります。
この御影石の性質は、日本人が墓石に求める性格・性質と非常によくマッチしています。
このため御影石は非常に高い人気を誇り、墓石によく利用されてきました。
劣化もしにくく、雨風に強く、メンテナンスが簡単に行えるというメリットもあります。
硬いため加工は難しいものの、それは技術である程度カバーできるデメリットであるため、多くの石材店がこの御影石を推しています。
墓石選びの第一の選択肢となるのがこの御影石です。
ただ、御影石は産地によって特徴が異なります。
このため、「やや水に弱い御影石」「やや硬度に劣る御影石」もあります。
そのため、良質な御影石を取り扱っている業者を探す必要があります(御影石自体の品質によって、価格設定が異なる場合もあります)。
なおここでは「御影石」を大きく取り上げていますが、これ以外にも「墓石に向く石材」はたくさんあります。
色のバリエーションや模様のバリエーションもありますし、それぞれが持つ性質も異なります。
気になる石や、「こんなデザインの墓石にしたい」などの希望がありましたら、石材店になんでも相談してください。
上でも述べたように、大理石は墓石に向く石材ではありません。そ
のため、大理石以外の「墓石に向く石材」を選択肢として考える方が現実的ではあります。
しかし、お墓はその人にとって最後の住処です。
「どうしても大理石でなければいやだ」「大理石が好きな人だったから、大理石のお墓に入れてあげたい」「芸術品が好きで、特に大理石を使ったものが好きだ。最後は、自分の愛した大理石でお墓を作ってもらいたい」と考える人もいるでしょう。
そんな人のために、「大理石で作るお墓」を提案します。
大理石は確かにそれほど強い石ではありませんが、日本でも大理石で作った墓石は(数は少ないながらも)存在します。
石材店が持つ現在の「コーティング技術」はかなり優れており、これを施すことで、柔らかい大理石でもある程度の強度を持つことができるようになります。
また、吸水性の高さによる問題も、足しげくお墓に通い墓石を拭いてあげることである程度カバーすることができます。
お金や手間、時間は少しかかるものの、「大理石で墓石を作ること」自体は決して不可能な話ではないのです。
住処にお金と手間と時間をかけるようにお墓のことも手入れしていくのだ、と決めたのならば、大理石の墓石を選ぶのも良いかと思われます。
なお、「大理石のデザインが好きなわけであって、大理石そのものにこだわっているわけではない」という場合は、大理石によく似た模様の花崗岩の墓石を選ぶことで対応ができる場合もあります。
「お墓」は、私たちにとって非常に大きな買い物であり、また最後の住処となる大切な買い物でもあります。
満足のいくお買い物ができるように、赤沢石材店は真摯にお客様のご要望に向き合います。
「こうしたい」「これがわからない」などございましたら、何でもご相談ください。