「納骨」は、故人のご遺骨を埋葬することをいいます。
非常に重要な工程であり、これをもってひとつの心の区切りとする人も多くみられます。
今回はこの「納骨の仕方」について取り上げます。
なお現在は、納骨場所として
- ・樹木の下(樹木葬)
- ・納骨堂
- ・墓地
- ・お寺などの宗教施設
など、いろいろな選択肢があります。
またあえて納骨をせずに手元で供養していく……というやり方がとられることもあります。
ただ今回は、「墓石の下にご遺骨を埋葬するときの納骨の仕方」について解説していきます。
なお、樹木葬や納骨堂、宗教施設への納骨の場合、手順がまったく異なってくることも珍しくありません。
他の方法を希望する場合は、各施設に納骨の仕方を確認するようにしてください。
また、ここでは特に記載しない限り、
- ・仏教を信仰している人であり
- ・埋葬箇所はお寺の墓地あるいは公営や市営の墓地に埋葬を希望している
- ・喪主は故人の子ども
という想定でお話をしていきます。
目次
納骨のときには、連絡すべき相手、用意すべきものがあります。
それについてまずは記載していきます。
まずは寺院に連絡をします。
一般的に納骨は四十九日を目安に行いますから、四十九日法要の日程の確保と合わせて行うとよいでしょう。
ただし納骨は、「亡くなってから〇日以内に納骨をしなければならない」などのような決まりがあるわけではありません。
そのため、寺院の都合がつきさえすれば、1年後・2年後、あるいは10年後などになっても構いません。
ご家族が「気持ちに区切りをつけられる」と考えた日に行うようにします。
このときに連絡すべき寺院は、基本的には菩提寺です。
特にお寺の墓地に納骨する場合は、菩提寺への連絡が必須となります。
他の寺院に連絡するのは、菩提寺側から「お盆で繁忙期であり、どうしても都合がつけられない。いくつか案内をするので、その寺院に連絡をしてほしい」などのように言われたときに限ります。
なお「菩提寺はわからないし、もう連絡もしていない。お墓も新しく建てる。特定の寺院とも今後付き合っていくつもりはないが、お経だけはあげてほしい」などの意向ならば、僧侶の派遣サービスを利用するとよいでしょう。
葬儀のときにお世話になった葬儀会社に尋ねても構いません。
日にちが決まったのならば、親族に連絡します。
納骨は、一般葬のときとは異なり、声を掛けた人しか参加しません。
ただこのときに「〇さんは声を掛けられたのに、こっちには声が掛からなかった」などになると後々までもめることになりかねません。
このため、声を掛けるべき相手はしっかりと選ぶようにします。
四十九日法要と同じ日に納骨を行うのであれば、四十九日法要の案内のなかに「納骨も行う」という旨を記しておくだけで構いません。
それ以外の日に行う場合は別途案内が必要です。
なお、「非常に限られた範囲(4~5人など)しか納骨式に呼ばない」ということであれば、電話での連絡でも問題ありません。
石材店に連絡をしてください。
故人の名前などを彫刻する必要がありますし、納骨のために扉を開ける必要もあるからです。
なお彫刻は納骨のタイミングで行うことが多いといえますが、墓石を作った際に彫ってしまうケースもあります。
不明な点や希望のタイミングがありましたら、合わせて納骨にお伝えください。
日本では、特段の事情がない限りご遺体は火葬に伏すことになります。
このときに、火葬証明書・埋葬許可証が出されます。
これがなければ納骨できません。
この許可証は、通常骨壺と一緒に入れられています。
行方不明になった場合は、再発行の手続きを行いましょう。
墓地を利用するための許可証が出されているはずですから、それも持参します。
なくしてしまった場合は、霊園側に掛け合いましょう。
納骨を行う際は、納骨式を執り行うのが一般的です。
これには決まった手順はありません。
ただ一般的には、以下のような手順で行われることが多いといえます。
法要会場などで四十九日法要を営みます。
墓地に移動します。
葬儀のときとは異なり、納骨式の場合はそれほど人数もいないことが一般的であるため、基本的にはマイクロバスなどの手配は必要ありません。
施主が納骨式を行う旨を挨拶します。
このときの挨拶の内容は、「参列してくれたことへのお礼」などです。
また、今後も変わらぬお付き合いをお願いしますといった内容を入れることもあります。
簡潔に済ませるとよいでしょう。
石材店のスタッフが扉を開けて納骨を行います。
僧侶による読経が行われます。
また、参列している人たちが一人ひとり焼香を行っていきます。
葬儀のときとは異なり、この読経や焼香も簡潔にまとめられるのが一般的です。
現在は、墓地にお供えしたお供え物は持って帰るように指導されていることが多いといえます。
果物などの食べ物類は、特に「持って帰ること」が義務となっているケースが大半です。
そのため、これを回収します。
なお、お花に関しては基本的にはそのままで構いません。
法要会場あるいはお店に移動し、食事をとります。
このときの食事は精進料理であることもありますが、いわゆる「生臭(肉や魚など)」を入れることもあります。
このあたりに関しては明確な決まりがあるわけではありませんから、ご家族で話し合って決めていくとよいでしょう。
ここまで、納骨の仕方について解説していきました。
納骨には決まった手順や、「〇日までに××しなければならない」などのような法律的な縛りがあるわけではありません(ただし、火葬証明書に関しては法律の管轄内です)。
自由度は比較的高いといえますが、その分、家族との話し合いが重要になってきます。
納骨は基本的には一度しか行わないものですから、後悔のないように取り計らいたいものです。