少子高齢化社会になっていっていること、埋葬方法が様変わりしていっていることから、現在はいろいろな種類の埋葬方法が選択肢に挙がってくるようになりました。
今回は、「家族(ここでは主に配偶者と自分、そして未婚の子ども)以外と一緒に眠る方法」について考えていきましょう。
目次
「家族以外と眠る墓」と聞いて、まず真っ先に思いつくのが「合同墓」でしょう。
合同墓とは、その名前の通り、ほかの人と一緒に眠る方式をいいます。
この場合、ご遺骨は基本的には骨壺から出され、ほかの人と一緒に混ぜて埋葬されます。
その上には合同墓の墓石(通常のものよりも大きい)が置かれており、来訪者はそこに手を合わせることになります。
「最初の数年~数十年は個別のお墓で眠り、それ以降は合同墓に入れる」というかたちをとることもできますし、「最初から合同墓を利用する」というやり方を選ぶこともできます。
前者の場合はご家族の心情的に受け入れられやすいかたちですし、後者の場合は費用が非常に安く済むというメリットがあります。
このかたちは、寺院墓地や民間墓地、樹木葬、納骨堂など、さまざまな施設で選択することができます。
また、行旅死亡人(身元などがわからない人)もまた、このかたちで葬られることになります。
合同墓は、
- ・宗教への帰属意識が強くない
- ・祭祀継承者がおらず、墓を継いでくれる人がいない
- ・そもそも死後の自分の扱いについてこだわりがない
- ・お金をかけずに弔ってほしい
と考える人に向いています。
なおこの「合同墓」という考え方は、ペットのお墓でもよくみられます。
ここでは便宜上、「家族(ここでは主に配偶者と自分、そして未婚の子ども)以外と一緒に眠る方法」としています。
しかしペットも大切な家族ですし、同性のパートナーや、強い感情で結びついた友人などもまた、その人にとっての「家族」と言えるでしょう。
このような気持ちに寄り添うべく、ペットと一緒に眠る方法も提示されるようになりました。
これは樹木葬のかたちが多いのですが、「ペットの遺骨を持っていたら、ご家族と一緒に眠ることができます」としているものです。
いつまでも一緒に弔ってもらうことができるため、ペットを愛し、またペットに愛された人に最適なかたちだと言えるでしょう。
ただしこれには注意点があります。
樹木葬などの場合はこの方法を選ぶことが比較的容易ですが、「ペットだけでの納骨はできない。人間が亡くなったときに、ペットの遺骨があれば一緒に納骨することならばできる」としているところが多いということです。
そのため、先にペットを失くした場合はまずは手元供養をし、「自分が死んだときに一緒に埋葬してくれ」とお願いをする必要があります。
またこの方法をとる場合、「お寺のお墓に入ること」はかなり難しくなります。
仏教では人間と動物を同じものだとは考えていません。
動物は畜生に分類されるものであり、一緒に納骨することにはかなり慎重な立場をとるところが多いのです。
ただし、寺院墓地でも、少ないながらにペットと合同で入ることのできるお墓もあります。
「寺院の墓地で眠りたい、けれどペットと一緒に眠りたい」と考えるのであれば、限られた選択肢のなかから選ぶしかありません。
「同性のパートナーと最後まで一緒にいたい」
「無二の親友に恵まれたので、ずっと一緒に過ごしたい」
「親族との縁は遠く、両親も早くに亡くなり、子どもも持たなかった。しかしこのまま一人で眠るのはつらいから、同じような境遇の友人と一緒に眠りたい」
このように考える人も多くいます。
そのような人のために、合同で眠ることのできるお墓も提案されるようになりました。
これも、多くは樹木葬です。
樹木葬の場合宗教にとらわれないかたちが多いため、既存の価値観にとらわれないかたちでの埋葬が可能となるのです。
自然のなかで眠ることのできるこの樹木葬は、豊かな四季の移り変わりを感じたいと考える人にも向いています。
また、ごく限られてはいますが、寺院が行う「血縁関係にとわられないお墓」も提示されています。
それが、證大寺(しょうだいじ)の提案するお墓です。
ここでは血縁関係にとらわれることなく、大切な人と一緒に眠ることができるのです。
法律婚にとらわれない埋葬方法を考えている人におすすめで、安らかに眠ることができます。
また、この證大寺が提案する「&(安堵・あんど)」は、グッドデザイン賞も受賞しました。
上記では「法律婚によらないお墓」を紹介しましたが、最後はこの「法律婚」と関わるお墓について取り上げましょう。
「一人っ子同士で結婚したので、片方のお墓を選ぶともう片方のお墓を継ぐことができなくなる」
「両家のお墓がとても離れている。世話ができるのはどちらか片方だけ」
などのような状況になることは、決して珍しくはありません。
少子高齢化の現在、このような傾向はさらに強くなっていくと思われます。
そこで考えられたのが、「婚家のお墓も一緒にしてお祀りする両家墓(りょうけばか)」です。
これは、1つのお墓に2つの家族のご遺骨を収めるものです。
こうすることによって、祭祀継承者が途絶えてしまうことを防ぐわけです。
管理も楽になるということで、現在注目を集めています。
両家墓にすることができるかどうかは、霊園の運営・管理者側に確認をとる必要があります。
しかし「片方の家のお墓しか面倒を見ることができない状況」にあるのであれば、検討して見る価値のある選択肢だと言えるでしょう。
「後を継ぐ人がいないから合同墓に」というのは、ひとつの考え方です。
ただ、合同墓を選ぶにしても、できればポジティブな理由で選びたいものです。
合同墓を選ぶ理由をもう一度洗い出し、「自分にとって理想とする選択肢が合同墓なのか、それとも合同墓以外の選択肢の方がベターなのか」を考えていくようにしてください。