最近、終活という言葉がブームになっていますが、その一環として墓じまいをする人が増えてきています。
しかし遺骨を移動するのには許可を得なければいけませんし費用もかかります。
今回は、墓じまいとはなんなのか、どのように進めればよいのかをご紹介します。
墓じまいとは、今あるお墓から遺骨を他の場所に移して、お墓のあった場所を元の更地の状態に戻すことを言います。
今後お墓を継いでいってくれる人がいなかったり、お墓が遠方にあってなかなかお墓参りに行けなかったりという場合に墓じまいをする人が多いようです。
日本人のライフスタイルが昔とは変わってきたため、何世代もの家族が同じ土地で暮らし続けるということが少なくなってきました。
生まれ育った町とは違う町で、新しくお墓を建てる人もいるでしょう。また、核家族が増え少子化も進み、跡継ぎがいない家も少なくはありません。そうした場合、先祖代々のお墓も次に入る人が居なくなり無縁仏となってしまいます。
そうならないように、墓じまいをして永代供養墓や納骨堂に遺骨を移す人が年々増えてきているようです。
いざ墓じまいをしようと決めても勝手に遺骨を持ち出すことはできません。
きちんとした手順を経てお墓をしめることになりますので、ここからは墓じまいの手順を確認していきましょう。
墓じまいを決めたらまず、墓地の管理者に連絡をしましょう。
遺骨を他の場所に移す場合は、「改葬許可証」が必要となります。改葬許可証は自治体から発行してもらう書類ですが、発行には、墓地の管理者に発行してもらう「埋葬証明書」と、遺骨を移す先の墓地の管理者から発行してもらう「受入証明書」、そして「改装許可申請書」の提出が必要となります。
埋葬証明書と改葬許可申請書は、遺骨一体につき一枚必要なので、事前に何体の遺骨が埋葬されているのか確認しておいたほうが良いでしょう。
ちなみに、墓じまいの後に遺骨を自分の手元で供養したり散骨したりするという場合は、改葬許可書は必要ありません。
取り出した遺骨の次の埋葬先を準備します。
永代供養墓や納骨堂に遺骨を納める人が多いようですが、新しいお墓を作るという場合は墓地と墓石の準備を進めましょう。
閉眼供養とは、お墓にお骨を埋葬する時に行った開眼供養によって墓石に宿った故人の魂を墓石から抜き、ただの石に戻すための供養となります。
お坊さんを呼んで読経してもらうことになるので、お布施が必要となります。だいたい3～10万円程度が相場となっています。
寺院墓地から別の場所に改葬した場合、お寺に対して離檀料を支払います。
離檀料は今までお世話になったお礼の気持ちを表すためなので、決まった金額が明示されている訳ではありません。お寺とのお付き合いの深さや、そのお寺の格にもよりますが、多くても20万円ほどを包むのが一般的のようです。
ごくまれに、檀家を手放したくないお寺側が高額な離檀料を要求してくるというトラブルもあるようですが、離檀料はあくまで感謝の気持を示すもので支払い義務はありません。トラブルが起こった時には石材店や弁護士に相談するようにしましょう。
最後に墓石の撤去工事を行い、土地を更地に戻してお返ししましょう。
撤去工事は石材店にお願いすることになります。
お寺や霊園で石材店を紹介してもらえる場合もあるので、相談してみるのも良いでしょう。
ここまで墓じまいの手順を確認してきましたが、書類を申請したり、供養のためにお坊さんを手配しないといけなかったりと煩雑な手続きが多々あります。
自分で行うには少々手間がかかると感じた場合、墓じまいの手配を代行業者にお願いすることもできます。
行政に対する書類の申請のみの代行は、行政書士か弁護士が行います。
そして遺骨の取り出しから墓石の解体作業を代行してくれるのは石材店となります。
しかし最近は、行政手続きから墓石の解体まで、墓じまいに関わるすべてを代行してくれる石材店も多くなっています。
このような場合は、墓じまいパックなどといったセット料金になっているので、かかる金額が明確ですし、お得な料金設定になっていることも多いです。
またトラブルが起きた時に相談に乗ってもらえたり、間に入ってもらえたりするのも安心です。
インターネットで探すといろいろな墓じまい代行業者が出てくるので、金額やサービス内容などを比較してみるのも良いでしょう。
このように代行業者もありますが、一般的にはまずは石材店に相談することが良いでしょう。
墓石を扱っている石材店はお墓のことに関してもプロの会社です。
まずは一人で考えずに石材店に相談すると良いでしょう。
ここまで墓じまいの流れについて見てきましたが、墓じまいをするには、定められた手続きを踏まなければいけないことが分かりました。
いろいろな書類を集めて役所に提出するというのは、働いている人だと特に時間を取るのも大変だと思います。
そのような時には、まずは石材店などに相談してみると良いのではないでしょうか。
