「墓地」は、私たちにとって最後の住処となるところです。
現在は非常にバリエーションがあるこの「墓地」ですが、その種類や特徴についてはあまり知られていません。
ここでは墓地の種類について解説していきます。
墓地の種類を分ける方法はいくつかあります。
そのうちの一とつが、「運営主体で分ける」というものです。
この「運営主体での分け方」は、大きく分けて3つあります。
- ・寺院墓地
- ・民営墓地
- ・公営墓地
です。
なお「墓地」は「霊園」と呼ばれることもありますが、基本的には同じものだと考えてください。
その名前の通り、お寺が管理と運営を行っている墓地のことです。
日本では非常にメジャーなかたちであり、一般的に「墓地」と言ったときにはこれを想像する人が多いでしょう。
この寺院墓地は、檀家さんによって支えられていることが多いといえます。
そのため、「この寺院墓地を利用するのであれば、檀家になってもらわなければならない」としているところもあります。
また先祖代々のお墓がある寺院の住職に断りなく別の宗教・宗派・僧侶による葬儀を挙げた場合、「うちの寺の墓地に埋葬することはまかりならん」ともめることもあります。
寺院墓地の場合、宗教・宗派が定められていることも多いといえます。
在来仏教ならばどんな宗派でも受け入れるとしているところが多いかと思われますが、新興の仏教に関しては受け入れを拒否しているところが多いので特に注意が必要です。
また、どんな宗教・宗派でも、一度そこの寺院墓地に埋葬されてしまえば、そこの宗派の供養方法で弔われることになります。
このように寺院墓地には厳しい決まりがありますが、それでも、「御仏の傍で眠ることができる」「お寺の元でゆっくりと休める」ということから、宗教への帰属意識の高い人には非常に好まれます。
また菩提寺との関係も深くなるため、困ったことがあったときにも相談しやすくなります。
ほかの墓地の場合、「永代供養」としていても「お経などはあげない。行うことはあくまで『管理』にとどまる」というところも多く見られます。
しかし寺院墓地の場合は朝夕の読経が行われたり、年忌法要のときにはまた特別なお経を上げたりしてくれるので、「供養」を望む人にはおすすめです。
「民間墓地」とも呼ばれます。
民間企業や宗教法人が運営している墓地をいいます。
これを作るときには、都道府県知事の許可を得る必要があります。
民間墓地にもよりますが、比較的施設・設備が整っていることが多く、快適に過ごせるのが魅力です。
法要会館などが一緒になっているところも多く、利便性に優れているのも魅力です。
送迎バスが最寄駅から出ていたり、駅近くに建てられたりしていることも多く、通いやすいのも魅力だといえます。
備品管理もきちんとなされており、気軽にお参りに行けるのが大きなメリットです。
また民営墓地の場合、基本的には宗教・宗派が問われることはありません。
ただ、宗教法人が行っている民営墓地もあるため、仏教以外の宗教を信仰しているのであれば、一度確認をした方がよいでしょう。
民営墓地は、「民営」であるがゆえに、「倒産のリスク」をゼロにすることはできません。
ただ墓地はその性質上、ある程度長期間にわたって運営し続けられるかどうかが重要視されます。
そのため、民営墓地であってもそう簡単に倒産したり潰れたりすることはありません。また仮にこのような憂き目にあった場合でも、救済措置はあります。
ただほかの2つに比べると、経営面ではリスクがある選択肢だといえます。
最後に、「公営墓地」に関して見ていきましょう。
公営墓地は、名前の通り、公的な団体が運営をしている墓地です。
地方公共団体などがこれの運営にあたります。
税金を使って運営していくため、非常に安定しています。
経営面のリスクがない……という点では、ほかの2つよりも優れています。
また、公共団体が運営している墓地であるため、墓地の使用料が比較的安いのも特徴です(※例外はあります。公営墓地でも、民間墓地よりも高いところもあるので確認は必要です)。
また公営墓地はその性質上、どのような宗教・宗派でも拒否することなく受け入れてくれます。
最終的な受け皿として活躍しているのがこの公営墓地の特徴でもあり、どのような人でも利用できるのが魅力です。
もっとも公営墓地は、あくまで「その地方自治体が運営している墓地」だという点には注意したいものです。
このため、その地域に住民票がある人が優先されます。
また墓地によっては非常に人気が高く、抽選になってしまうこともあります。
加えて、公営墓地の場合は設備などが古くなっていることも多く、自分たちの手である程度管理していかなければなりません。
外を歩いているときなどに、霊園でもなさそうなところにぽつんと建っているお墓を見たことのある人もいるのではないでしょうか。
それらのなかには、「みなし墓地」と呼ばれるものもあります。
昭和23年からは、墓地埋葬法によって、墓地や納骨堂を経営する者は都道府県知事の許可を得なければならないと定められました。
しかし日本には、この墓地埋葬法以前にも多くのお墓が建てられていました。
このようなお墓を、「現在の墓地埋葬法に違反するから」という理由で打ち壊すことなどできません。
そのため、「みなし墓地」という考え方が出てきました。
これは、「地方自治体の許可がなかったとしても、現在の墓地埋葬法が施行される以前からあったお墓はそのままでもよい」とするものです。
このようなみなし墓地は、当然新しくつくることはできません。
「自分の家の敷地内に墓石を置き、その下に家族の遺骨を埋めていく」ということもやってはいけません(ただし、非常に厳しい条件下・特殊な条件下にあっては例外的に許可されることはあります)。
新しくお墓を建てるのであれば、
- ・寺院墓地
- ・民間墓地
- ・公営墓地
の3つの種類の中から選ぶようにしましょう。