大切な人や家族が亡くなると、お葬式を行い、火葬し、墓地に遺体を埋葬します。
具体的に埋葬にどのような決まりがあり、どのような流れで手続きをしているのでしょうか。
いざという時のために、埋葬について理解を深めていきましょう。
埋葬とは、人間の遺体や遺骨を土に埋めることを指します。
しかし現代の日本では土葬よりも火葬を選ぶ方が多いので、火葬が終わった後の遺骨をお墓や納骨堂に納めて葬ることを[埋葬]としています。
日本における、墓地や埋葬に関する法律では、土葬を禁止しているわけではありません。
しかしながら、ほぼ100%に近い割合で火葬になっているのは、お墓を管理する市町村や宗教法人、公益社団法人、財団法人いずれの主体でも墓地経営の規則を定めており、その規則では土葬を受け入れていないからです。
人が亡くなると、亡くなってから7日間以内に医師が記載した死亡証明書と共に市区町村役場へ死亡届を申請しなければなりません。
その死亡届を提出すると、市区町村役場から火葬許可証を受け取ることができます。
この火葬許可証がなければ火葬が認められず、ご遺体を埋葬できないので注意が必要です。
そして、遺体を火葬した後に火葬許可証を墓地や霊園管理者へ提出します。これらの手続きを終えてから始めて、火葬された遺骨を埋葬することができるのです。
日本では火葬がほとんどですが、世界的にみると宗教により様々な葬送方法があります。
火葬は、現在の日本でほぼ100パーセントの割合で行われていると言われています。
一部の神道などによる宗教的な問題か、離島や山間部など火葬ができない問題があるところ以外はほぼ火葬を行なっています。
火葬とは、その名の通り遺体を焼却して葬送する埋葬です。
日本で一番はじめに火葬が行われたのは、仏教が日本に伝わった約700年前のことだと言い伝えられています。
遺体を火葬したあとは、[骨あげ]という収骨の儀式があります。
ここでは、骨を足から頭に向かうような順番で骨を骨壺に入れて、最後に故人と縁の深かった遺族によって喉の骨が収められます。
この様な[骨あげ]の儀式があるからこそ、骨を綺麗に残せるのです。
儒教やイスラム教、キリスト教の一部の宗派では火葬が禁じられていたり、火葬を行わなかったりする宗教もあります。
土葬は遺体をそのまま土に埋葬する葬送方法です。
その中でも、遺体を直接土の中に埋葬する方法と、棺の中に入れてから土の中に埋葬する二つのパターンがあります。
縄文時代には下半身を曲げたままで埋葬する[屈葬]という方法があり、[邪悪な念がご遺体に入りませんように]という気持ちが込めらたそうです。
その後に[伸屈葬]という、ご遺体の体を寝かせて棺の中にいれてから、土に埋める方法が広まりました。
日本では昭和の初期までは一般的に土葬が行われていました。
土葬は、法律で禁止されているわけではなく、一部の山間部の地域では土葬が行われているところもあります。
しかし、実際は衛生面の関係でほとんどの自治体が土葬を禁止しているので、土葬は現在ではあまり見かけなくなっています。
日本は火葬を選択する方が多いようですが、欧米や中近東では現在でも土葬をするのが一般的です。
キリスト教では故人が死後に復活するという教えを重視しており、イスラム教では肉体を故意に失うことを禁じており、そのため生きていた時と同じ状態の土葬が好まれています。
遺体を火葬した後の焼骨を粉末状にし、川や海、空、山、森などに撒く葬送の方法です。
日本では一部の地域では条例などで禁止されていますが、ほとんどの地域では法律上散骨を行なっても問題はありません。
しかしながら、散骨した川や、山のふもとの住民からの苦情が発生しており、現在散骨を行える場所はかなり限られています。
海外では、ブータンや中国などで一般的に散骨を行なっています。
埋葬法とは、正式名は[墓地、埋葬等に関する法律]のことをさします。
墓地や納骨堂、火葬場の管理や埋葬などを支障なく行うために、昭和23年に制定された法律です。
この埋葬法は人の遺体の埋葬と墓地に関して規定するものであり、犬や猫などのペットや動物などに関することは一切記載していません。
また、どんな葬式や宗教で執り行うのかについては日本国憲法の[信教の自由][思想・信条の自由]に触れてしまうので、この埋葬法には記載や明示はされていません。
この埋葬法には、墓地や埋葬に関する用語の定理、墓地や埋葬に関するルールや、墓地、納骨堂および火葬場の管理者経営者の義務、この法律に違反した場合の罰則などについて規定しています。
埋葬許可証とは、一般的に火葬した遺骨をお墓に納骨する際に必要な書類です。
現在では、遺骨をお墓に埋めることが[埋葬]と認識されていることが多いのですが、実際の埋葬の意味は[遺体を土の中に埋めること]であるので、埋葬許可証とは、つまり土葬をする際に必要なものを指します。
日本だとほとんどが火葬なので、埋葬許可証よりも火葬許可証の方がメジャーでしょう。
このように、今の日本ではほぼ100パーセントの人が火葬を行うと言われています。
嫁ぎ先や友人に急に墓参りに誘われた時などのために、埋葬に対する知識をつけていきましょう。