「弔いのかたちはひとつではない」といわれるようになって、随分長い時間が経ちました。
かつては想像することすらできなかったかたちでの供養も行われるようになってきましたし、葬儀のかたちも移り変わっていっています。
今回はそんな「新しい供養のかたち」として取り上げられる、遺灰(遺骨)アクセサリーについて取り上げます。
遺灰(遺骨)アクセサリーとは、その名前の通り、遺灰や遺骨から作られるアクセサリーをいいます。
ペンダント(ネックレス)のかたちにされることが多いもので、現在は数多くの業者がこれを手掛けています。
遺灰(遺骨)アクセサリーのもっとも大きな魅力は、「愛する人とずっと一緒にいられる」ということです。
どこかにお出かけするときも一緒に行くことができますし、美しい光景を共有することもできます。
お墓に収めるのも納骨堂に入れるのも樹木葬や海洋葬の選択肢をとることも骨壺を仏壇などにおいてお参りしていく方法もどれも意味のあるものですが、「いつでも一緒に、自分の見ている光景を共有できる」というのは遺灰(遺骨)アクセサリーだけのメリットだといえます。
もっとも身近に愛する人の存在を感じることができるものということで、近年遺灰(遺骨)アクセサリーに注目が集まっています。
なお、遺灰(遺骨)アクセサリーで使う遺灰・遺骨は、全体の量からすればそれほど多い量ではありません。
加工方法にもよりますが、多いものでも全体の4分の1程度です。
そのため、「遺灰(遺骨)の大部分はお墓(やそれ以外の場所)に収め、手元に残していた遺灰(遺骨)で遺灰(遺骨)アクセサリーを作る」というやり方もあります。
さて、この「遺灰(遺骨)アクセサリー」ですが、これは大きく分けて2つの種類に分けられます。
- 遺灰(遺骨)を用いてダイヤモンドを作る方法
- 遺灰(遺骨)アクセサリーとして、ネックレスのペンダントトップなどに遺灰(遺骨)を封じ込める方法
1の場合は、遺灰や遺骨が炭素からなるものであることを活かし、そこから人工のダイヤモンドを作っていきます。
かつては色付きのものがよくみられましたが、今は美しい透明のダイヤモンドも作られるようになりました。
どこのブランドかによっても異なりますが、美しくカットしてくれるものがあったり、カラットを選べたりすることもあり、鑑賞に十分に耐えうるダイヤモンドができます。
このダイヤモンドは非常に美しく魅力的なものですが、ある程度の出費は覚悟しておかなければなりません。
金額の相場は、30万円程度からです。
なかには200万円近くになるケースもあります。
お墓の値段と葬儀の値段の平均額はそれぞれ200万円程度ですから、このようなやり方でのダイヤモンド加工をお願いした場合、それとほぼ同じ金額が出ていくことになります。
なおこの「遺灰(遺骨)でダイヤモンドを作る」という選択肢を選ぶのであれば、大切な遺灰(遺骨)を託す相手をしっかりと見極めることが重要です。
信頼のおける業者を選ぶ必要がありますから、周りの評判などをしっかりチェックして選びましょう。
ここからは、2の「遺灰(遺骨)アクセサリーとして、ネックレスのペンダントトップなどに遺灰(遺骨)を封じ込める方法」としての遺灰(遺骨)アクセサリーについて解説していきましょう。
かつて「遺灰(遺骨)アクセサリー」というと、筒状態になっている容器のなかに遺灰(遺骨)を入れるかたちがよく取り上げられていました。
またそうではなかったとしても、ある程度ボリュームのあるペンダントトップのなかに遺灰(遺骨)を入れるやり方がよくとられていました。
この形はたしかに今もありますし、またニーズも高いものです。
しかし遺灰(遺骨)アクセサリーの技術が発展するにしたがって、ほかの形も提案されるようになりました。
愛らしく華奢なペンダントトップの中に遺灰(遺骨)を入れ込むこともできるようになったのです。
また、パールなどを組み合わせる手法も出ています。
これらの遺灰(遺骨)アクセサリーの場合、一見しただけでは遺灰(遺骨)アクセサリーだとはまずわかりません。
むしろ、「遺灰(遺骨)アクセサリーであること」を伝えられてからまじまじとみても、遺灰(遺骨)アクセサリーであることがわかる人は決して多くはないといえるでしょう。
日常に溶け込みやすいデザインであり、毎日使えるのも遺灰(遺骨)アクセサリーの大きな魅力です。
遺灰(遺骨)アクセサリーのデザインは非常に多様化していっています。
一般的なアクセサリーを選ぶように遺灰(遺骨)アクセサリーを選べるようになっているのです。
ただ傾向としては、金色のものよりも、銀色の素材で作られたものの方が多いようです。
遺灰(遺骨)アクセサリーのもうひとつのメリットとして、「価格の幅が広く、予算に応じたものを選べること」が挙げられます。
遺灰(遺骨)アクセサリーの場合、20000円ほども出せばある程度しっかりした形のものを買うことができます。
一方、もっと素材やデザインにこだわりたいと考えるのであれば60万円を超えるものを選ぶこともできます。
このような「価格の幅が広いこと」は、ユーザー側にとって非常に大きな魅力だといえます。
なおここでは遺灰(遺骨)アクセサリーの代表例として、「ペンダント(ネックレス)」を挙げました。
すべてのサイトを確認したわけではありませんが、遺灰(遺骨)アクセサリーは一般的にこのかたちをとることが多いからです。
しかし、ペンダント(ネックレス)ほどのバリエーションはないものの、リングやブレスレットなどを取り扱っているところもあります。
また女性用に比べるとバリエーションは少ないのですが、男性用の遺灰(遺骨)アクセサリーを販売しているところもあります。
「遺灰(遺骨)アクセサリーを作ることは決まっているけれど、どんなかたちにしようか迷っている」という人は、このあたりも選択肢に入れてみてください。