「年回忌法要」は、仏教の葬送儀礼です。追善供養のひとつであり、故人を偲び、故人のために徳を積むために行われるものです。
今回はこの「年回忌法要」の考え方と現在の年回忌法要のあり方、そして年回忌法要の数え方について紹介していきます。
「年回忌法要」とは、追悼行事のうちのひとつです。
旅立った故人のために徳を積み、その行く末が良きものであることを祈ります。
現在では、「故人を偲んでみんなで語り合うタイミング」「親族縁者が集まる機会」としてとらえられることも多いといえます。
一般的には、年回忌法要を行う場合は「親族や縁者を呼び、僧侶にお経をあげてもらって、お墓や仏壇に手をあわせる」というやり方がとられます。
この後にみんなで会食をして解散……となるのが一般的です。
ただしこれはあくまで、「一般的には」という話です。
宗教への帰属意識が薄れていること、また上でもお話ししたように「故人を偲んでみんなで語り合うための機会」として年回忌法要がとらえられるようになったことから、年回忌法要のやり方も少しずつ様変わりしていっています。
まず、「だれを呼ぶか」についてみていきましょう。
一般的に四十九日法要~一周忌までの間は、比較的広い範囲に声をかけます。
それ以降は徐々に声をかける範囲を狭めていくのが通例です。
葬儀(一般葬)とは異なり、法要の場合は喪主(喪家)が声をかけた人しか参列しません。
ただ現在では「血のつながりはなくても、故人が非常に親しく付き合っていた友人」を呼ぶこともあります。
また「故人は大きな葬儀を望んでおらず、年回忌法要も簡単に済ませてほしいと言っていた」ということで、親族は呼ばずに家族だけで年回忌法要を行うケースもあります。
このように、「だれを呼ぶか」にも故人や喪主(喪家)側の意向が強く反映されるようになっていっています。
ただし「××さんは呼ばれたのに、私は呼ばれなかった」などのような軋轢(あつれき)が生じることもあります。
このため、迷ったのであれば広く声をかける方が無難であるとする説もあります。
年回忌法要には、「弔い上げ」という概念があります。
年回忌法要は
- ・一周忌
- ・三回忌
- ・七回忌
- ・十三回忌
- ・十七回忌
- ・二十三回忌
- ・三十三回忌
- ・三十七回忌
- ・四十三回忌
- ・四十七回忌
- ・五十回忌
- ・百回忌
があります(仏教において格別の功績を残した人などは、百回忌以降も年回忌法要が営まれます)。
ただし実際に、一般家庭で百回忌まで行われるケースは極めてまれだといえます。
相当義理堅いお家か、お家の隆盛に格段の貢献をした人か、あるいは宗教への帰属意識が極めて強いご家庭か……でなければ、百回忌まで行うことはありません。
一般的に、年回忌法要は三十三回忌で弔い上げとなります。
弔い上げとは、「これ以降の年回忌法要はしません」とするものです。
またこの三十三回忌をもって、個別のお墓から合同墓へとご遺骨を移動する場合もあります。
しかしこの「三十三回忌での弔い上げ」も絶対的なものではありません。
実際には三十三回忌より以前で「弔い上げ」にすることもあります。
例えば十三回忌のタイミングなどです。
早い段階での弔い上げを選択する理由としては、
- ・家族~親族間の関係があまり良好ではなく、早く弔い上げをして関係を切ってしまいたい
- ・宗教への帰属意識が薄く、年回忌法要を重要視していない
- ・故人の希望により、「十三回忌までで」など決まっている
- ・親族での慣習による
- ・経済的な理由
- ・祭祀継承者が高齢であり、これ以上年回忌法要を行うことは難しい
- ・祭祀継承者がいない
などのようなケースが挙げられます。
「早めに弔い上げをする理由」は各家庭で異なりますし、それぞれの事情もあります。
そのため自分が参列者側の立場であるのなら、あまり深く追求しすぎることのないようにした方が良いでしょう。
年回忌法要は仏教の宗教儀式であるため、「必ず僧侶を呼ばなければならない」と考えている人もいます。
しかし実のところ、僧侶を呼ぶ・呼ばないの選択肢は、喪主(喪家)側の判断に委ねられます。
通例として三回忌までは僧侶を呼んで行うことが多いといえます。
しかし七回忌以降は僧侶を呼ばず、親族だけで集まって年回忌法要を営むケースが増えてきます。
この場合は仏壇やお墓に手を合わせる→会食を行う→解散……の流れをとることが多いといえます。
なお僧侶を呼ぶ場合は、必ず最初に菩提寺に声をかけるようにしてください。
菩提寺以外のところに声をかけて手はずを整えてしまうと、後々大きな問題になりかねません。
特に「寺院の墓地を利用している」という場合は、この手順を飛ばさないように注意してください。
最後に、年回忌法要の数え方について解説していきます。
まず、故人が2019年に旅立ったとしましょう。
この場合、一周忌が行われるのは2020年です。
三回忌が行われるのは2021年となります。
そして七回忌が行われるのは2025年です。
十三回忌は2031年に、十七回忌は2035年に、二十三回忌は2041年に、二十七回忌は2045年に、三十三回忌は2051年に行われます。
注意したいのは、「三回忌」です。
三回忌は、「亡くなった3年後」に行われるのではなく、「亡くなった2年後」に行われるものなのです。
その後は、4年あるいは6年ごとに年回忌法要を行っていくことが基本となります。
なおこの「年回忌法要」は、故人の命日を基準に行われます。
しかし「2年後の命日ぴったり」に行うことはほぼありません。
実際にはその前の週当たりの土日のいずれかで行われることが多いといえます。
この方が参列者が集まりやすいからです。
また、「この人には絶対に参加してほしい」などの希望がある場合は、多少日にちをずらすこともあります。
ただ、「前倒し」にはしてもいいとされていますが、「後ろ倒し」にすることは望ましくないとされています。
あとは僧侶との日付のすり合わせを行って決めていきましょう。