庵治石(あじいし)は、日本三大花崗岩(かこうがん)の一つです。その美しい石質と、伝統的な讃岐地方の技術によって、数ある石材の中でも「世界一」との評価を受けている庵治石についてご紹介します。
庵治石は、高い硬度で知られる花崗岩の中でも、特に硬い石質を誇ります。讃岐地方(現在の香川県)を産地とする庵治石の歴史は古く、1339年、京都・石清水八幡宮の再建時に使用されたのが、最古の記録として残っています。また、かの豊臣秀吉も、大阪城築城のためにわざわざ讃岐から庵治石を取り寄せたほどの石材です。
明治時代に入ると、石材技術も発展し、庵治石の需要はさらに高まりました。昭和30年代以降は機械化が進み、採石や加工も容易に。その結果、庵治石はその美しい石と加工技術によって、「天下の銘石」として世界的な評価を受けています。
香川県高松市の北東部に位置する霊峰・五剣山。その北西には、庵治石が眠る丁場群があり、現在でも採石が行われています。
庵治石は建築資材、庭石、墓石など、さまざまな用途で使われています。その主な特徴は、以下のとおりです。
庵治石は、その質の高さと希少性から、世界的な有名彫刻家からも愛されています。
また、その美しさは、季節ごとに変化します。
春には透明感を、夏には躍動感を、秋には深みを、そして冬には静寂を感じさせてくれるという、まさに日本の風土そのもの。
このように庵治石は、日本を代表する石材なのです。
庵治石の最大の特徴は、なんといっても「斑」(ふ)と呼ばれる現象と、「かすり模様」です。
「斑」とは、磨かれた石の表面に黒雲母(くろうんも)が緻密にはいり、まるで濡れたような、まだら模様に濃淡が出ることをいいます。
さらに、石の表面に二重の「かすり模様」が見えることを“斑が浮く”といい、この現象が起こる石材は世界中を見渡しても、庵治石のみ。
これが、庵治石が「世界一の石材」と呼ばれる所以です。
庵治石は、成分鉱物の結晶の大きさによって、「細目」(こまめ)、「中細目」(ちゅうこまめ)、中目(ちゅうめ)の3タイプに分類されます。それぞれの主な特徴は以下のとおりです。
比重 | 2.66グラム |
---|---|
吸水性 | 0.19% |
耐用強度 | 24.2kg/㎡ |
特徴 | 小さな黒雲母(くろうんも)の数が多く、「斑」(ふ)と呼ばれる現象が起こるため、艶やかな光沢がある。最高級の石材の一つ。 |
比重 | 2.67グラム |
---|---|
吸水性 | 0.20% |
耐用強度 | 20.0kg/㎡ |
特徴 | 細目に比べるとやや白く見え繊細で優しい石質を誇る。透明感と高級感を備えた石材。 |
比重 | 2.67グラム |
---|---|
吸水性 | 0.20% |
耐用強度 | 18.8kg/㎡ |
特徴 | 白い長石が桜吹雪のように舞い、優美な光沢と、独特の色合いをかもしだす石材。 |